【復刻】 016 クリスマス商戦の実態 19971222

今回は米国のクリスマスの実態について、ご報告します。我が家は今年で三回目の米国でのクリスマスを迎えることになります。まだまだわからない事も多いのですが、今年はプレゼントの買い物と、プレゼントの配り方がわかり始めましたので、まとめてみます。

クリスマスの雰囲気
１１月下旬の感謝祭が終わりますと、街にはクリスマスソングが流れ出します。ジングルベルだけでなく１０種類くらいの音楽があります。そうすると、人々はクリスマスの準備に集中してゆきます。
具体的には、クリスマスプレゼントの買い物、クリスマスカードの準備、クリスマス休暇の過ごし方を決めることなどです。

クリスマスプレゼントはお歳暮感覚とプレゼント感覚を合わせたもの
私は、こちらに住む前には米国のクリスマス商戦がなぜ、経済指標になるのかよく分かりませんでした。年末のボーナスという制度も無い国で、なぜ小売店が年間の３割の売り上げをこの期間に売り上げるのかよく分かりませんでした。しかし、いろいろと見てみると、クリスマスに合わせていろいろな事が繰り広げられます。まずは、商品の購入動機から見てみます。
プレゼントの相手は、一緒に住んでいる家族にはもちろん、郷里の親戚縁者そして近所の人、友人と会社でお世話になった人など実にさまざまです。ですからプレゼントを買う金額は所得のある人だと一人数千ドルになるそうです。そうすると一ヶ月分の給料をプレゼントにつぎ込んでいると言っても間違いではないと思います。共働きであれば、一つの家庭で１００万円近くの買い物をする事になるわけです。そうすれが、景気に与える影響は決して小さくないわけです。個人的にはこれだけ沢山の相手に買うわけですから、買い物だけで一仕事になります。もちろん一度では買い切れませんから、何度も何度も買い物に出かけて行くわけです。

ちなみに、今週の月曜日に会社のそばのショッピングモールにクリスマスカードを買いに行ったときですが、夜の８時なのに駐車場が休みの日と同じように満杯でした。そして、モールの中は気ぜわしく買い物をする人で混み合っていました。昨日の土曜日の事です。昼から買い物に出かけました。目指すモールに行ったところまでは良かったのですが、駐車場が満杯で車を降りられません。１時間も粘っては見たのですが、結局最後まで駐車場所が見つからず、買い物はできませんでした。こんなにすごい買い物客がいるという光景は初めてでした。ここで、これがクリスマス商戦だと言う事を実感する事ができました。

買い物以外は何があるか
クリスマスの祝い方はさまざまです。クリスマスツリーはどこのショッピングモールにもありますし、ホテルや市役所など大きなツリーを飾り付けます。各家庭ではクリスマスツリーや、クリスマスリースなどが飾り付けられます。それだけでなく家の外側へも飾り付けをする家も多くあります。これはクリスマス照明を家の周りに飾り付けて、夜になると点燈して通る人の目を楽しませるものです。ですから、この季節は会社からの帰り道、通りに面した家の照明がいやでも目に入ります。そして、TVではクリスマス関連の映画をディズニーやHBOという映画専門のチャンネルが流しますのでますますクリスマスの雰囲気が広がって行くのです。他には本家の教会はクリスマスのミサや音楽会などを催しますので、宗教的な要素も加わります。

自分の事だけでなく
こういった行動とともに、慈善団体もクリスマスの時期に寄付を募ります。救世軍は日本でも有名ですが、その他にもたくさんの慈善団体がショッピングモールにテーブルを出して、あなたの１０ドルの寄付が２０人のホームレスの人たちの食事になるので、ぜひ寄付をして下さいとか勧誘します。これに応える人もいますし、無視する人もいます。このような部分まで含めて、クリスマスは大きな動きとして街中を席捲しているのです。

クリスマスの後
これだけの激しい商戦の後ですが、クリスマスの後は店にはプレゼントの返品行列となる社会です。プレゼントに気とお金を使う割には、返品の行列ができると言う、私から見ると実にドライな社会になっていると思います。しかし考えてみると、この返品も含めて、個人の主張を受け入れる事が、米国の多様化社会の精神的なインフラなのではないかと思います。