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【復刻】 120 Topというもの 20000916

シドニーオリンピックが始まった。このWeeklyも実は、1996年のアトランタオリンピックが終了してから、最初はCharlotte Weeklyという、米国文化、習慣の紹介レポートのようなものから始まったわけだから、かれこれ4年経ったというわけである。当時のレポートもいつか紹介できる機会があると思うが、時は着実に経っているのを感じる。オリンピックは世界各国から、Topのプレーヤー達が集い、世界一を争うわけであるから、文字通り実力のTop争いが、目的であり、そこでの勝者はTop中のTopとなる。これを、ついつい事業のTopや他のスポーツのTopと比較したくなる。ここでは、閉鎖系社会のTopとオープン系の社会との比較で考えてみたい。

 

閉鎖系社会のスポーツの典型は相撲
閉鎖系のスポーツと言うのは、その中での試合で順位や、記録などすべてが格付けされてしまうものを言う。閉鎖系社会のスポーツの典型は相撲である。これは、まず相撲協会に入らないと、参加資格を与えられない。そして、試合の審判役も協会公認で無いと務めることができない。協会自身が利益をあげて、それを所属する人たちに分配するという仕組みを持っている。すなわち、外部に対して、ひとつの収益企業団体として動いている。そこのトップは、選手であれば横綱であり、協会は理事長となる。企業の観点で見ると、理事長(社長)の元にいるスペシャリスト(力士)が力と技とを競い合う仕組みであり、横綱はスペシャリストの頂点であり、その世界はあくまでも相撲と言う種目であり、グローバルではなくローカルなスポーツでのTopになる。

閉鎖系社会の象牙の塔
これに意外と近いのが、象牙の塔と呼ばれる、学問の世界である。日本の大学のレベル低下が問題視されて久しいが、この原因は、旧来のやり方を踏襲するだけで教育しているところにあると言われている。特に情報や人的な交流のあまり無い分野でのレベル低下が激しいという。これも、Topの権力が閉鎖系社会を支配する構図になっているから、Topの力量以上のことはやれなくなってしまう。そうすると、閉鎖系社会の宿命として、成長が止まるということになって行く。これを、防ぐには、学問の世界のTopと学校経営のTopを分けることと、学問が社会と個人の活力の原点であることを認識することが重要である。国立大学でも、経営(運営)は事業経営の経験のある人に任せるのがうまいやり方だと私は信じているが。これに関して、ヒトゲノムの解析では、民間が世界の研究者連合を追い越してしまった。学問の分野でも時代は、着実に開放系に向かっている。

開放系社会の典型は米国西海岸
Openという思想が根付いたのは、米国西海岸からであったが、この思想は20世紀の文化を大きく変えた。カジュアルな服装で仕事をするということもそうであるが、Openな仕組みを作ったことのほうが、時代に与える影響が大きい。すなわち、枠にとらわれない仕組み、そしてその仕組みを事業に生かすアイデアの集積地となったことである。これは、個人が自分の目標を達成しようとする時の理想的な行動パターンに近くなっている。その理由は、目標の達成段階に従った、その時に必要なスキルを持った人を、仲間に入れることができるからである。これは、目標を共有することで可能となる仕組みである。今回のオリンピックの種目も、プロ選手を入れてベストチームが作られているものも多くなってきた。プロとアマの金銭の稼ぎ方は異なるとしても、見る側からすれば、世界のTopを確認できるわけだから、楽しくなるわけである。事業でのTopはどういう人かというと、自分のアイデアを、早く、より良く実現した人ということになるであろう。

このように見てくると、事業の世界だけ出なく、スポーツや学問の世界も、閉鎖系から開放系へと流れてきていることがわかる。21世紀と言う時代は、文字通りOpenな環境の中で、アイデアやさまざまな活動が、より高いレベルを目指して動いて行くことになるだろう。その時に、われわれは、閉じた系の価値ではなく、より高い価値が創造する上で重要であることに気がつくことになると思う。

 

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