変化の時代に生きる生き方には、いくつか方法がある。ひとつは、昔のままを続けるという、マイペース型である。もうひとつは、回りの動きを見ながら、自分も進むというという、他人追従型である。
そして、3つめが、自分からその時代の動きに、積極的に参加して行くという方法である。これらが、今後起こるであろう動きに対して、どのような意味を持つのか、考察してみたい。
変化については、量的に変化するような、例えば、所得が徐々に上昇するとか、体力がだんだんついてくる(あるいは衰えてくる)ようなものについては、従来の延長で考えても十分対応できる。これは、マイペース型で、対応可能である。また、他人を見ながら動くと言う事は、社会的な存在として、自分を位置付けているというこであり、社会とのかかわりの中の自分で、自分の行動を決めるという、社会的人間の一つの選択である。社会が、量的に変化しているときは、これで十分であるが、質的に変化するときには、対応する内容の理解が伴わない(むしろ変化に逆行する)行動になりやすい。そして、社会が質的に変化するとき、20世紀の末はまさしく、その時代になっているが、先に述べた2つの型は、変化に対応してないことになる。なぜなら、変化の要因を考慮していないか、外部の動きに合わせているだけだからである。それでは、三番目の、積極的に変化に参加してゆくと言うのは、どうであろうか。これは、変化を直接肌身で感じて、自分で思考錯誤して進むやりかただと思う。そこで、行われたことは、すべて自分の意思の結果であるし、その結果はもちろん自分の責任である。そこまで考えると、自分が挑戦したことが、すべて自分に降りかかってくることになる。これは、言葉としては厳しく聞こえるが、実際は、試みたことがすべて、自分のものになるということと、同じ意味である。これは、英会話をするときに、失敗を恐れたり、時間や手間を惜しんだりした結果が、自分の獲得したものの大きさ(ここでは小ささというべきであるが)になるのと全く同じである。
高齢化社会のキーワードは勉強
日本の社会の高齢化はどんどん進んでおり、21世紀のかなり早い時期には世界でトップの高齢化社会となる。今まで、60歳定年と言われた人達が、その後20年近く生活をすることになるわけである。このときに、社会は質的な変化を遂げているのである。ここでは、その変化への対応を、勉強と言う観点で論じてみたい。比較は、大学での勉強である。
勉強時間からの比較
ここで、大学を参考に、人生20年間でどれほど、勉強できるか考えてみたい。一日一時間、20年間勉強をしたとする。これは、決して無理な時間ではなく、やり方によっては通勤の電車の中でも可能なことだと思えるが。その時間は、総計7300時間である。これに対して、大学4年間、年間220日をそれぞれ8時間ずつ勉強したとすると、これで7040時間である。この比較でお分かりのように、例え一時間でも続けることによって、大学での勉強時間を超えることも可能になる。もちろん社会に出た場合には、勉強する的を絞り込むことは可能であるから、その事柄については3-4年あれば、それなりの専門家になれることは間違い無い。
いつまでも、勉強する心を持つということ。
勉強という言葉は、あまりいいイメージが無い。押し付けられるとか、減点されるとか、ずいぶんイメージが悪い。しかし、江戸時代の末期、吉田松陰の生き方には、勉強こそ人生、というのが非常にはっきり見えている。下田で捕らわれ、安政の大獄で刑死するまでの間、野山獄の中でも、座敷牢の中でも勉強を続けるのである。そして、孔子の「夕べに道を知れば、明日に死ぬるも可なり」をひたすら実践するのである。これは、あまりにできすぎた人のことだと、思われる方もあるであろうが、私は松陰の至誠がそれを為さしめたのであり、日本人の天地人の一体感は、日々の勉強の中にこそ、その卓越した本質があると思う。複雑系の研究のメッカであるサンタフェ研究所の財政支援はシティーコープのジョンリードが中心になって行ってきた。彼自身が、複雑系を学びながらである。日本の経営者と、米国の経営者の忙しさの質の差は、結局は勉強の質の差である。これから迎える21世紀と言う質の違う新しい社会には、他人はともかく、自分としては勉強をして対応しようではないか。そう、私の母が言っていた。勉強は言われてするものではなく、自分でするものなのよ、と。
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