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【復刻】 116 スポーツとビジネス その3 20000729

スポーツとビジネスの関連を、組織運営として、内部から考えることとする。プロのチームであれば、オーナーが経営者(CEO)となるし、監督はCOOに相当するポジションであろう。COOの元には、選手が直結している場合が多いが、場合によると途中に、主将と言う人がいることもある。(野球、バレーボールなど)アメリカンフットボールはやや違っていて、攻撃の時だけクオーターバックという選手が出てきて、ゲームは彼の指揮の元で進められる。守りの時にはそのような人はいなくて、現場の選手に一任される。ここで考察を加えるのは、監督指示がすべての野球と、現場判断が中心のサッカー、ラグビー、バスケットボール、そして特別に造られたアメリカンフットボールに分けることとする。

 

監督COOの役割
現場の指揮を任されているのが、監督である。野球は文字通り、監督が選手の一挙一投足まで指示する。それゆえ、選手にとって野行動は監督の指示が再優先になる。すなわち、試合に勝つためには強打の選手との対決を避けて、敬遠をするという事態が発生しても、だれも文句を言えない。数年前の高校野球でこれが問題になったが、勝つためになんでもするという監督のロジックを打ち破ることはできなかった。これは、スポーツを楽しむ観客(勝敗を気にする観客とは異なると考えて)からすると「面白くない」ことではある。その意味では、野球と言うのはひいきチームの勝敗にこだわっている面が大きいかもしれない。巨人ファンとアンチ巨人ファンと言う不思議なグループ分けも、この勝負と言う一点で結びついている。選手のプレーは打者であればホームランの本数や打率、投手であれば勝率やセーブ数などで評価される。

次にサッカー、ラグビー、バスケットボールを考えてみる。なぜか監督はスーツ姿で試合に臨んでいることが多い。これは、野球の監督がユニフォーム姿で指揮を取るのと異なって面白いことである。監督は試合中には選手に指示を出したりしない。フォーメーションなどの大きな枠組みを決めたら、それ以降の細かな指示は出さない。これはスポーツの性質上、それができないこともあるし、日常の訓練が、「自分で判断し、行動すること」を中心に行われることで、それが可能となる。選手はひたすら、自分の技術とチームワークの向上に注力するわけである。このスポーツは一人ではできないし、いかに味方のボールをゴールへ入れるかということで団結することが必要である。このことこそ、ゴールさせるという目的を明確に選手が理解し、監督の指示が無くても自分で判断して目的を達成するという、知的な意思も要求されるものである。

アメリカンフットボールは、日本ではなじみが薄いけれど、米国で一番人気のあるスポーツと言える。このスポーツは作られたスポーツで、明らかに戦争のシミュレーションになっている。攻撃の武器は無いけれど、防御のためのプロテクターをつけて、選手はまるでロボットのような格好をして試合をする。それも、相撲取りくらい大きい人たちがぶつかり合うので、迫力がある。ここでの監督は、スーツは着ていないが、なぜか頭にはワイヤレスレシーバーをつけ、スタンドにいる試合展開の情報収集者と話をして、攻撃方法や守り方などを考え、クオーターバックの選手に指示を出す。一説によると、クオーターバックともワイヤレスで通じていて、直接のやり取りができるとも言う。状況が変わると、攻撃や守備のパターンを変えて、試合が進む。そして、現場にはクオーターバックと言う実務担当者がいて、攻撃展開を現場の実情に合わせて組み立てて行く。他の選手はゴールに入るために必要なそれぞれの役割を担うことになる。その意味では、クオーターバックの選手は知的でなければならないし、しかもプレーもできなければならない。大変なだけに、花形ポジションになっている。このスポーツの独自性は、監督が攻撃パターンを含めて現場に臨機応変に指示を与えるところにある。そして、監督は時に怒ったりしながら、選手を戦いへと向けて行く

監督の役割って
大きく3つに分けたけれど、監督の役割は指示命令の役割に尽きる。しかし試合の前の練習などでのチームに対する方針の徹底や、試合に関する取り組み方など、強いチームにするための努力は重要である。監督によって、個々の選手の能力の引き出し方も違えば、試合の成績も劇的に変化する。そこに監督の持つ、才覚が表れる。サッカー日本チームのトルシェ監督は自分なりの指導理論を持っているし、米国プロバスケットボールのフィル・ジャクソン監督は、シカゴブルズの監督からLAレーカーズに移り、今年優勝に導いた。ここで見ると、スポーツも選手と監督の役割が明確にわかれていて、これは選手のたたき上げが監督という構図とは異なる。この部分は、ビジネスについても、参考になるところである。すなわち、事業運営のプロというのが、組織を引っ張ると言う構図である。現場をどのように把握しているかということも重要であるし、組織がどのようにあるべきかということも重要である。監督と言うポジションは、その両者を具体化するということで、知的に勉強が必要なところである。

 

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