ロジスティックスは、兵站(へいたん)とか訳されるが、今だなじみが薄い言葉である。最近では物流という言葉の意味でも使われることがある。前線に物資や兵員を補給するシステムを指し示す言葉である。歴史を振り返れば、太平洋戦争で日本軍と米軍の戦争行動の大きな違いはロジスティックスにあったと思うしもっとさかのぼれば、元寇のときにも元軍は単身日本に攻め込んできた。背後に補給システムが無いから、元軍は日本に上陸したとしても、戦いを続けることは不可能であったと思う。このように補給ということを取り上げてみると、ロジスティックスというのは、生死を決する重要な事柄のひとつである。Net時代にはどのように考えるのか、考察してみたい。筆者は戦争肯定者ではないが、戦争で説明するのが最もわかりやすいので、それでたとえてみたい。
情報はロジスティックスのひとつである
まず、情報はロジスティックスのひとつである。これは、前線の兵士に指令を出すことを考えると分かりやすい。前線の兵士は、戦線の状況は良く分からない。日常的に戦線の状況を教えるのは大切なロジスティックスの役割である。物資の輸送が身体的要求にこたえるロジスティックスであるなら、情報は知的、精神的なロジスティックスである。これは、企業経営にも同じことが言える。企業の前線で働く人にとって、物資や情報の供給があるのとないのとでは、働き方が大きく変わる。前線が、自分の役割に徹することができるかどうかに影響するわけである。もちろん、戦争でも企業活動でも最前線が勝敗を決するわけであるから、指揮官は常に最前線が活動しやすくすることに配慮が必要となる。昔は、前線に恐怖感を持たせて、死に物狂いに兵士を働かせたこともあったが、これは長続きする方法ではない。前線の信頼を構築しながら支援する仕組みが無いと進まないし、そのための情報のロジスティックスは重要である。
物資の場合
物資の場合も同じようなことが言える。すなわち、補給が断たれたら前線は自分で補給を確保しなければならない。自分で補給して自分で戦うのでは、軍隊の組織ではない。個人ゲリラの範疇になってしまう。それを避けるには、自分のロジスティックスの範囲にしか兵を置いてはいけないということになる。これが、その地域での戦いの結果を決めることになる。日本軍はロジスティックスの無いことを、片道燃料の攻撃法でかわそうとしたが、結果は周知のとおりである。この習性から抜け出せていない部分は今でも結構ある。戦いはロジスティックスに左右されることが多い。
支援こそ本質的ロジスティックス
インターネットの時代になり、ベンチャーが事業創生するときにも、ロジスティックスは大きな役割を果たす。なぜなら、戦争で言えば、過去に経験の無いところで戦いをしなければならないからである。このときほど、基本的なロジスティックスが重要になるときは無い。誰も経験したことの無いネットワークで仕事をするわけであるから、お手本は無いし、指導してくれる人もいない。ここで、情報やインフラやそして、兵糧にあたる資金などが入らないと、事業展開はできない。これをいかにきちっとやるか、難しくもあり重要なことである。今、日本でベンチャー起これという掛け声は聞こえるが、実際に何が必要で、何をなすべきかというのは、まだ正しく認識されていない。必要なのは、支援であり、それは建築物ではなく、動きに合わせた情報と兵糧なのだ。
ロジスティックス強化の方法は、今できることを、すぐに支援すること
その意味からすると、これからの時代に必要なのは、支援する仕組みであり、これは何もベンチャー支援だけに限らない。本当の意味での、個人意識や社会常識が変わることしか、支援を定着させる方法はないように見える。それであれば、むしろかんたんである。出きることから支援すること、これを今からはじめることが、ロジスティックスを教化することなのである。
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