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【復刻】 086 小沢征爾について その4 19990801

小沢征爾の、最近の活動はいろいろありますが、日本では1992から始まったサイトウキネンフェスティバル松本が定着しています。今年も8/29から9/12まで行われます。
詳しくは  www.icon.pref.nagano.jp/usr/aoba-hotel/saito.htm をご覧ください。今年の目玉オペラは、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」です。
さて、話は変わりますが私が、小沢征爾という人を見ていて思うのは、縁を大切にしているということと、重要なことに集中しているということです。これは、すべて行動でしか証明できないことであり、それを実行し、持続するのは容易なことではありません。

 

縁を大切にすること
小沢征爾の、初めの縁というのは指揮者コンクールを通して、S.ミュンシュやカラヤンなどの人々との出会いです。また、バーンスタインのところにも顔を出します。そこで小沢征爾は、すべてを学ぶ姿勢を取ります。もちろん才能があり若かったので、それぞれの人は一生懸命教えてくれるわけです。かれのその才能は学生時代、斎藤秀雄から開花されたものなわけです。そのきっかけを利用するのは、本人であるのは当然ですが、それをどのように生かすか、あるいはそのきっかけで作られたものを、どのように維持するのか、と言うところに彼の人間性と、そして国際性があるように思います。一つは、縁を大切にすること、そして次はその縁によってきた人々とさらに、縁を深めて行くことです。その例が、斎藤秀雄の縁をもとに、その門下生を集めて編成されたサイトウキネンオーケストラです。サイトウキネンのメンバーは日本在住の人だけではなく、世界各地に住むメンバーが多く入っています。かれの行動様式の典型的なパターンだと思います。

国際的な視野を持つこと
小沢征爾は、才能の豊かさゆえに国際的な視野を持たざるを得なくなったと思います。理由は日本の中には、お手本が無いからです。その時に頼らなければならないのは、自分自身であり、そして国際的に、人間の考えることは、ほぼ同じであるということだと思います。後者は、成長したがっている人に対し、経験や、知識を持っている人達は、支援してくれるということではないかと思います。それは、世界の標準かどうかは解りません。何故なら、限られた指揮者のポストを沢山の人が争う時に、経験や知識を教えることは、ライバルに武器を与えると考えることも可能だからです。しかし、彼の接し方か、人間性かをもとにすると、それぞれの巨人達は、小沢征爾に実に沢山のことを教えてくれたわけです。(「ボクの音楽武者修業」 新潮文庫)

東洋的なものの持つ価値
小沢征爾の活躍を見ていると、縁を大切にするという点が非常に明確なのと、みずから働きかけて道を開くという点が、飛びぬけていると思います。行動から始めてそれをきっかけに縁を作る。それを維持して行くことで、限りなく人生を豊かにしている。それが、結果的には社会や、後から続く人達も育てることにつながっている、ということになります。その事は、実は東洋の思想の中核になるところではないかと思っているのですが、まさしく、縁を核に人々とつながってゆくことそのものです。そのきっかけになる、他の人への最初の働きかけをする行動は、とても重要ですし、日本語の中にも、蛮勇を振るってとか、乾坤一擲(けんこんいってき)などという、素晴らしい言葉となっています。これを、所信表明などの美辞麗句でなく、行動原理にした時に、新しいうねりを起こす行動が出てくるのだと思います。そして、小沢征爾は、それを見事にやり遂げたということが出来ると思います。

現在に生かせ、東洋の叡智
東洋は、現在経済的には苦しい状況にあると思います。しかし、これを乗り越えるのは東洋の叡智ではないかと思います。西洋と同じ事をしていても、資源の問題や、環境の問題などすでに見えてきたしまった限界は数多くあります。私は、情報通信というのは追いつくべき技術だと思いますが、それ以外は、もっともっと東洋を生かす形で考えるべきだと思います。
それにつけても、縁ということで世のは動いている部分が沢山あると思います。この一つの使い方だけで、人々の行動様式が大きく変わるのではないかと、考えさせられます。
小沢征爾の行動を見ていて、そのようにおもいました。

 

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