【復刻】 080 地域とインターネット 19990606

地域における、産業活動はどのようなものが良いのか、いろいろな国のものを比べてみているのですが、どうもキーワードは地域という考え方ではないかと思い始めました。ヨーロッパでも多くの都市は、その中に事業体や生活の場を持ち、地域としての活動をしながら、事業を進めるという形でした。とくに、古い建物（500年以上のものもかなりあります）を生かしながら、地域として生活の場を提供しているのは印象的でした。歴史は新しいですが、地域でビジネスと言う意味ではシリコンバレーでも同じだと思いました。すなわち、企業はまず地元で事業を進めます。

都市でも、東京やNYCやLondonのように、大きな都市であるがゆえに、人々が仕事をする場所と、住んでいる場所とが大きく離れている形態があります。仕事をする人、そこで生活する人、そして、事業活動をする人の３者にとって、どのような仕組みが良いのかを考えてみたいと思います。

資金はどうする
現在では、あらゆる活動には資金が必要になります。その資金をどのように集め、どのように使うかは、地域活動の重要なポイントです。言い換えると、地域活動と地域からの資金は密着することが、地域活動に反映させられるわけです。どの地域でも、生活者には生活の場、たとえば公園や学校、そして住むための住居など、生活基盤と言われるものが必要です。その具体策を決めるところが、地域に密着しているほど、速いスピードで的確な施策になるというわけです。その意味で、地域事業はその地域でやるしかないということです。

これを、中央が予算の分配権握っていると、どうなるでしょうか。一般論ですが、地方の実状がわからないまま、優先順位をつける事になります。日本の場合には、結果平等主義という尺度が多く採用されていて、その理念で予算を分配する事が多いと思います。だから、どこの地域にも（中央の予算で）空港を作れとか、地域が中央へト依頼することも出てきます。そして、予算の結果チェックが入らない仕組みですから、既得の案件の積み上げをすると、中央の予算とは莫大な硬直予算になっている可能性があります。

地域で予算の配分を考えるとどういうことになるでしょうか。地方で予算が管理できれば、その地域にふさわしい行政が行えるはずです。これは、直接関知と言う点でも同様で、自分の税金の使われ方が良く分からないと、行政誘導型に載せられてしまいますし、自分と地域との関連も、明確にならなくなります。その意味で、欧米は、地域で仕事、地域で居住というのがはっきりしていて、地元の重要性を強く感じたのでした。すぐには、日本は変化できないかも知れませんが、地域という観点を再度、生活とビジネスの両面から見直してみる事が必要だと思います。その時に、自分が直接的に関わる事についても、どのようにすれば効率的なのか、そして暮らしやすいのかを考える事が重要だと思いました。介護の問題、教育の問題、そして、地域活性化の問題、どれをとっても毎日の生活に裏打ちされ得ていなければ、地域は変化できません。家庭の問題も、ひいては地域での家族の関わり方が重要ですし、会社と自分が離れていて、ますます家に戻りにくくなる、現在の仕組みは、どこか無理があるように思います。

生活の場
通信の発達により、情報に関する地域格差は小さくなってきました。そして、そのネットワークが、グローバルであり、しかもローカルでも使えるようになりました。そうなると、地域活動、個性のある地域、顔の見える人間関係ができる可能性が出てきました。遠くの親戚より近くの他人といわれることわざがあるように、生活の拠点、教育の場、仲間での助け合いが、ますます重要になってきています。　これらのことから、地域に活動拠点がある事が重要だという事が分かります。浅い人間関係を取り続ける事は結局自分の生活の質を下げるという事になる、という事実を一人一人がどのように受け止めて行くのか、大きなポイントだと思いました。