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【復刻】 072 結果をチェックするということ 19990328

前回は、手段と目的を取り違えると、当然結果が大きく狂うということになってくることをご説明したつもりです。すなわち、組織活動を例に取ると、組織の長になるという「目的」を持った人にとって、長になればそれは目的を果たしたことになるのです。それは、その人にとって長になったあと、組織は存在さえすれば良くなる、あるいは自分を長として遇する人々を周りに集めるという行動につながることが多くなります。ですから、組織の目的を明確にすることよりは、自分の長たる時間を長くすることに、腐心することになります。これは、残念ながら、多くの日本の組織が過去にやってきた行動パターンの一つです。今回は、そのような履き違えの目的を設定した時の、修正する方法などを考えてみたいと思います。

 

組織は公のものである
組織は、株を独占的に支配していると、社長のものと思われるかもしれないのですが、社会の中で活動をしている限り、責任や義務や制約の中での活動になりますので、組織は公のものと考えられます。もちろん、公開会社や、官庁などその存続基盤はすべて、公です。これは組織の位置付けを考える上で、重要な要素です。

組織は不滅であると言う間違い
日本の組織がもつ最大の欠陥は、目標の設定と、結果のチェックが不十分だと言うことになると思います。これは、太平洋戦争での日本軍の行動として、今でも語られることです。経済企画庁長官の、堺屋太一氏も、「時代末」という著書の中で、組織は発生した時点で、組織としての、独自の動きをする。すなわち、組織を維持する目的こそが、組織内での地位を保証する結果を生むと書かれています。ですから、組織内では、よほどの強い意志が無ければ、行動をチェックするのは不可能だと言うことになります。一時、個人は去っても組織は不滅であるという話が出てきたことがありますが、これなど、組織維持を目標と勘違いした発言です。

結果を出すには、目標がなければならない
そうすると、結果をチェックをしながら進むことが重要になってきます。しかしここで大切なのは、目標がなければ、その行動は決められないし、ましてや目標に沿った行動がないと、結果は評価できないのです。その判断も、設定する目標に対して、具体的でなければ結果を評価することになりません。米国のHewlett Packard社(HP)は、HP Wayという会社の基本方針を掲げています。その中で、会社の目的を果たすために、利益を上げることを最優先にすると言っています。来年分割されますが、その理由はHPの収益の成長率が8%とう低収益体質である。それを変えるために分社化すると言うもので、もちろん現経営責任者は交代します。このような明確な基準に基づいて、早い経営判断が出来ることになります。(ちなみに、日本の企業で利益の成長率が8%と言うことで、経営陣は交代するかと考えると、この考え方の違いの大きさがお解りいただけるかもしれません)
経営の本質は目標設定と、判断基準
目標を設定することと、その判断基準を作ることが経営の本質だと思います。さらにあえて追加するとすれば、その判断の中に結果に対する対応策まで織り込んであれば、ほぼ完璧でしょう。時代がこれだけ速いスピードで動いている現在、私の考えでは、責任ある人が、目標を設定し、判断基準を作りそして、その結果を責任ある人が判断するようにならないと、スピードは上がらないように思います。これこそ、現在日本と、米国あるいはアジアでの競争のキーファクターではないかと思えるのです。

その為に必要なことは?
では、組織のスピードを上げたり、結果に対するフィードバックをするためには、どうしたら良いのでしょうか。私は、ここで個人の役割を認識することが重要になってくると思います。すなわち、一人一人の役割を、各人が検証することです。組織での役割、社会での役割、いろいろな場面があるとおもいますが、いずれもある状況での「役割」であって、どう考えても目的ではないことが多いと思います。すなわち、組織と言うのは、ある目的を達成するための手段なのです。その手段の内側だけで、大きな目的を持つことは原理的に不可能だと思います。そうすると、日本の動きの遅さの原因が個人に依存しているという構図が浮き彫りになってきます。
でもこれは、救いがあると思います。なぜなら、個人は自分で自分を変えられるからです。

 

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