現在、日本の社会を見ているといくつかの混乱が見られます。一つは目的と手段の取り違えです。もう一つは、生きる理由というか、目的のチェックが無いまま社会が出来上がってしまった、ということでしょうか。これは、私自身の反省も含めて考える問題だと思っています。
前者は方法論、到達点として問題で、後者は人として主体的な関わり方に関連が出てきます。
この問題を、一度は考えないと、日本の今の状況を招いた要因を見つけ出すことは出来ないと思いますので、いくつかの例を検証してみたいと思います。
手段を目的にしても、達成はできる しかし…
目的を持つことを誤ると、当然結果は誤ったものになります。次のような言葉を考えてみましょう。
大学に入る。会社に就職する。予算を取る。お金を儲ける。目的として設定されていることも多い項目だと思います。これらを、ちょっと調べてみましょう。
まず、大学に入るを目的に持ってきます。そうすると、大学に入ったところで目的は達成されます。ですから、大学にいれば良いということになります。それが目的だったのですから。
会社に入る、という目的はどうでしょうか。やはり同じように、会社に入れば良いのですから、会社に居るということが、目的になります。では、予算を取るという点ではどうでしょうか。予算を取れば良いわけですから、いろいろな圧力団体などを使って、予算を取ることを必死でやります。予算が取れたところで、そうです、そこで目的は達成されているのです。
お金もうけはどうでしょうか。そうです、お金を儲ければ良いのです。
結果に対する洞察とチェックの重要性
では、もう一度目的を確かめてみましょう。大学に入るのは、そこで学んで、その次に何かをするためではないでしょうか。目的だとしたら、いつまでも大学に居ることすら、「正当」な事になります。そうすると、この場合には大学に入るという「目的」を見直す必要が出てきます。それは、大学に入ることを「手段」として、次に何をするのかということを考えることにつながります。会社に就職するというのも、同じような要素を持っています。もちろん、就社を目的とすることを、他人の私が良いとか悪いとかは言えませんが、会社で何をするのかというのは、いつでも問われていることだと思います。予算については、取るまでは大騒ぎをするのに、取ってからはあまり関心が持たれないように思います。そうすると、予算が有効に使われたかではなく、取ってしまうと安心ということになります。
お金は、もともと手段だったのに
お金ということになると、その成り立ちから考えて、物々交換や、労働力交換のために手段でした。その価値というのは、あくまでもお互いの合意です。それは、本来交換することで価値の発生するものだったのです。しかし現実には、お金を儲けるということが発生して、しかも貯め込むことに価値を見出すことすら見受けられます。もし貯めたとすると、お金の価値はそこで消えます。お金は使う時だけ、価値を発生するからです。そうすると、日本人が貯め込んだといわれる個人資産1200兆円は、埋もれたままでは価値を発生しないということになります。そのことと、現在の経済の停滞とは密接につながっていると、私は見ているのですが、いかがでしょうか。
次回は、チェックするシステムということを、述べてみたいと思います。
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来る、4/10(土) 夜 9:00-10:15 BS-1で、BS討論会というのが行われます。仮のタイトルは「21世紀、ベンチャーは日本を担えるか?」というテーマで、産、官、学の経験豊富な方々の生討論会がありますので、興味のある方はご覧ください。日本のこれから進む方向のヒントが出るかもしれません。
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