米国では、PCバンキングという、家庭にいながらにして、預金口座から各種支払い、振り込みなどができる方式が広まっています。口座や家計管理をするソフトも多く売れていて、Intuitと言う会社のQuickenというソフトは、大ベストセラーになりました。日本でも最近PCバンキングを始める銀行が出て来ています。やり方を比較してみたいと思います。
米国の銀行は、ただでソフトをくれる
米国の銀行は、自分の口座にアクセスするソフトをただでくれます。そして、銀行の口座にアクセスして自分の口座の状況や、支払などをします。もちろん家計管理の出来るソフトを購入してもそれが可能なわけです。(私が入手したアクセス用のソフトはIntuitのQuickenno古いバージョンで機能が限定されているものでした) PCバンキングに必要なのは、銀行につなぐための番号と、自分の口座にアクセスするパスワードです。そして、手数料は一日3回以内のアクセスであれば、無料です。これは、以前にもご紹介した、ATMの引き出しで、365日24時間いつでも手数料を取らないシステム(預金残高は私の口座のある銀行では3000ドル以上必要ですが)と合わせて考えると、顧客側に有利なように見えます。
日本の銀行は、ソフトを購入させ、口座手数料をとる
日本で同じことをしようとすると、どうなるか調べてみました。私の口座のある銀行では、PCバンキングを始めようとすると自分でソフトを購入しそして(1万円以上します)、自分の口座のある支店に、PCバンキングの開設許可をもらいます。毎月1000円支払って、PCバンキングが出来ることになります。もちろん電話料金は、自己負担です。
米国系の銀行はインターネットで対応する
私は、米国系の銀行で最近預金量を伸ばしている銀行がどうやっているかも調べました。ここは、インターネットを利用して、口座管理、支払いが出来ることがわかりました。利用料は、無料です。
ここも、手数料無料のためには、口座最低残高がありそれは30万円でした。電話料金はここでも自己負担です。
なぜ、その差が起きるのだろうか?
以前に、休日のATM払い出し手数料のことで日米の差を書いた時に、日本の銀行の方からなぜ、手数料がかかるかと言う説明のメールを頂きました。内容は、払い出しコストに対して、手数料でもまだ赤字になるという考え方を教えていただきました。これは、払い出しに関する部分は確かに、その通りでしょう。ですから、米国系の銀行は預金最低限度量と言うのがあって、制約を設けているのかもしれません。しかし、最低限の金額が3000ドルとか、30万円と言うのがそのコストをカバーするのでしょうか。あるいは、日本の場合でも預金残高を考えてみると、口座に常時30万円以上ある人は少なくないと思います。何せ、日本の預貯金の総額は数百兆円といわれていますし、預金者の受け取る利息など、本当にわずかなものです。個人を見ればビルゲーツのような個人の大金持も多くありませんので、平均的には日本人の預金額は少なくないでしょう。
戦略的PCバンキングとは何だ?
ここで、単なる目先の収支ではない戦略的顧客対応と言うことが出てきます。今の銀行は顧客の囲い込み(顧客資産をすべて把握し、運用することをねらう)に動き始めています。金融業界の障壁などどんどん取り払われて、業域が広がっています。それを見据えた時に、銀行が顧客にするべきことが見えてきます。すなわち、いつでもお客にぴったりとつく、と言うことです。それは、顧客の一人一人を見つめることで初めて成立する内容です。その為に、PCバンキングであろうと、ATM無料化であろうと実行しているのが米国の銀行の動きです。コスト+適正利潤=価格(手数料)と言う構図は、すでに崩れているのです。その中でどのように自分達のビジネスを進めるのか、この日米の対応の差にも大きなポイントが見えているように思いました。
前号の訂正
69号で、NASDAQの株式時価総額がNYSEの株式時価総額を上回ったと書きましたが、正しい表現はNASDAQのマイクロソフトの株式時価総額が、NYSEで一番株式時価総額の高いGeneral Electricを上回ったと言うことです。読者の高橋様からご指摘を頂きました。ここに訂正いたします。時価総額では、NYSEのほうがNASQDAQの4倍大きいことも確認させていただきました。高橋様、ご指摘ありがとうございました。
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