NYダウの株価が再び最高値を更新しました。この株高はバブルではないかという日本からの言葉が、どうも的を得ていないように思えます。この理由を考えてみているのですが、情報ということに関して米国での利用のされ方と、日本で考えていることとが大きく違うことが原因ではないかと思えるようになりました。これを、ビジネスに関与する部分から解析してみたいと思います。まずはコストという今やグローバルな視点でものを考える時に最重要な要因とそのインパクトを考えてみたいと思います。
情報とコストの関連
情報は金だ!と日常的でもいわれます。人より早く情報を耳にして、買い占めをして高く売りつけるというのは過去の例です。現在ではどうでしょうか。いかに早く情報をキャッチして、次のビジネスにつなげるのか、判断をするのかというのが、大きなポイントです。そして、今や情報インフラは会社という枠を超え、国境というバリアーも越えてつながる状況が出来上がってしまいました。しかも、そのインフラは今までの通信のコストの中で一番コストが安いのです。これが。米国をはじめ世界の通信インフラがおかれている状況です。
会社の中の情報インフラとコスト
米国では、社内でのネットワークは古くからE-Mailが使われており、トップと最前線とは直接にメールのやり取りをします。日本では最近、メールのシステムを導入するところが多くなって来ていますが、トップと最前線がメールのやり取りをすることはめったにありません。むしろ、トップは自らメールを書く(キーボードをたたく)ということが無く、従来の周りの人がまとめた意見を聞くという役目を持ち続けているように見えます。もともとの人間関係が、米国ではファーストネームやニックネームで呼びかけるのに対して、日本ではまだまだ肩書きが呼称になる場合が大部分です。この事は米国ではトップの個人を見ていることに対して、日本では会社でのポジションを見るという形になっているということです。もちろんトップへの尊敬の念というのは人間的にも、また地位に代表される実力にも付きまとうわけですが、米国の場合は、前者と後者が明確に分離できるのに対して、日本では分離しにくい呼び方になっています。コストの点で見るとメールという情報伝達手段に対して、米国ではコストが下げられる要素を持つのに(すなわちトップの周辺で意見を取り纏める人達が不要になる)日本では、メールという付加的な設備が追加されたということになります。これはすなわちコスト増の方向であり、従来の周辺の意見取り纏めというシステムを見直さなければ、世界の動きに逆行していることになります。
新しい組織にとっての情報インフラ
既存の会社が二重性を持ちながら情報インフラを追加して行くのに対して、新しい組織の場合には以前では考えられないような大きなメリットがあります。それは、インターネットという通信インフラがすでにあってそれに乗っかれば、ビジネスをグローバルに展開することはコスト面では問題にならないほど、安く出来上がるのです。この事は大きなメリットです。むしろ問題はインターネットに乗るまでの、通信コストになってきました。私は少なくとも米国の状況しか知りませんが、米国は政府主導で、独占禁止法を活用しながら、独占による利益を競争によるコストダウンに向けて民間を誘導しているように見えます。これがなぜ受け入れられるかというと、最終的に米国の国際競争力を(コストダウンによって)強め、もっと多くの利益を国民が受けられるという論理を提唱しているからです。私の経験でも、米国の市内通話は基本料金で利用無制限ですし、出張でホテルからその市内のプロバイダーにつないでも、基本料金(50から75セントくらい)で利用無制限なのです。ですから、出張先でもメールのやり取りはもちろん、各地の天気などもインターネットでゆっくりと調べることが出来るのです。
もはや日本離れが
通信を使った、遠隔工場運転というのが日本のK社で検討されたことがあります。技術的には完成したのですが、採用になりませんでした。理由は通信費が高くて、採算に合わないということでした。また、国際企業として知られるS社は情報システム部門を米国に移しました。その方がはるかに安いコストで、システム管理が出来るのです。そんな中日本の情報化度が発表されました。昨年は世界で4位だったのですが、今年は9位です。シンガポールにも北欧諸国にも抜かれました。情報が価値を持つということが分かっていながら、具体的には何も始めない今の状況は多いに心配のあるところです。政府がしてくれることを当てにしてもいいのですが、世界はそんな事はお構いなしにもっと早く進んでいるのです。今年はもっと視点を情報インフラに向けて、自ら積極的に参加してゆこうではありませんか。
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