マーケティングという言葉は、いまだ十分わかった気がしない不思議な言葉です。これは、以前の感覚ですと、販売支援的要素が強いと思っていましたが、どうも違うようです。Websterの辞書にも製造者から消費者に商品を動かす全体の活動という表現で出ています。この関係に詳しい方に聞くと、このMarketingの概念こそ、世界の市場を理解する上で、もっとも重要であると言われます。それがひいては、貿易摩擦の原因や、新商品開発の原動力になるということもあるそうです。
今回は、Marketingと言う言葉の中味を検証してみたいと思います。
Sales & Marketing
米国の会社の組織の中で、特に目に付くのがMarketingという部門です。これは、Websterの辞書にある通り、市場に商品を流すと言う部分を担うと考えれば、物や知的財産(ソフトウェア)を売るときには、必要になる機能になります。その意味で多くの会社が、Marketingという部署を抱えることになるわけです。そして、SalesはMarketingが切り開いた流れに従って、商品を販売して行くことになります。
投資は、まずMarketingから
たとえば、新商品を開発するときには、Marketingが、いつのタイミングにどんな商品を出すかと言うことを決めて、それにしたがって、開発、試作、商品化を行います。もちろん発売前のPRとか、他社に対する応用製品の開発依頼なども、同時並行で進みます。その時に、投資をするのですがその金額は、商品によっても違いますが、製造設備に対する投資額に匹敵することもあるそうです。そのような形で、リスクをとりながら新製品が開発され、Marketingはそれを先導し、ビジネスの方向を示します。商品によっては、Marketingに何年もかけてから、市場に出てくるものもあります。
自動車、フィルムの場合とVTRの場合
自動車の場合は明瞭なのですが、FordやGMがMarketingをして完成された商品です。
日本は1960年代から製造技術で米国を追い上げ、高品質な車作りに成功したわけです。この商品の場合に、日米貿易摩擦が起こったのは、Marketingをして、市場を作り上げた米国に対し、製造技術とコストいう部分で日本が競争に勝つようになったので、問題が大きくなったと言われています。Kodakのフィルムについても、訴訟の中味はおかしなところがあるものの、基本的な考えの裏には、Marketingをしたのは、米国であると言っているように思えます。それに対して、VTRは日本がMarketingし、製造技術も持っていますので、米国は何も言いません。ただ、使うだけです。その分、安くて単純な機能のものしか売っていません。ですから、Marketingは市場に対する参入権をも意味することがあるのです。しかし、これでは後発国はいつまでたっても、先進国にオリジナルの商品を出すことができなくなります。そこで、現在では大型の新製品のMarketingは、国境の壁をいかに乗り越えるかが大きなポイントになります。
ハイビジョンの失敗と、DVDのMarketing
米国は今年中に、デジタルTV放送を開始します。これについては、日本がハイビジョンとして、当時の先端技術で、世界に提案したものがありましたが、欧米の賛同が得られないまま、商品には育ちませんでした。これは、Marketingの失敗です。お客がいて商品があるという原則に合わなかったため、このような結果になったと思います。いかに、消費者を味方にするかと言う点で、働きかけが少なく、しかも技術におぼれてしまった点が災いしたと思います。ここは、大きく肝に銘じるべきことだと思います。そして、現在は新たに書き換え型DVDの行方があります。これもどうやって、消費者、供給者を味方にするかで、膨大な宣伝、投資が行われています。生き残りは片方でしょうから、しんどい戦いになるわけです。
Marketingに成功する方法
Marketingに成功する方法は2つあると思います。一番目は大義名分を持つこと。二番目は味方を増やすことです。1番目は戦いや、論争でも重要なポイントです。2番目は言い方を変えると友達の数で決まると思います。日ごろから情報や意思の疎通を図ることが重要になります。そのためには、まず大義名分を持った論理を組み立てて、友達と議論することが、重要になると思います。それは、今まで日本人があまり訓練を受けていなかった部分でもあります。しかし、Internetというインフラを使えば、簡単にネットワークができます。そのネットワークの中で、相手に自分の主張をわからせるということにチャレンジする中で、経験をつんで行くのが一番早いし有効な手段だと思います。もはや日本という枠ではなく、世界に対して開かれた考えと、友人を持つことが必須の時代になってしまっていると思います。
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