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【復刻】 030 低コストの社会 19980406

米国での生活の中で、低コストということをいろいろなところで実感します。ひとつの大きな原因は圧倒的に土地が広くて、安いと言うところに起因すると思います。しかしその他にも、やり方次第ではコストを下げる試みがいくつかなされています。その中で、日本でも真似できそうなことを含めてご報告したいと思います。

流通業の試み
流通業はこれだけ広い国でありながら、輸送経費は決して高くないと思います。地上の輸送で日本と随分違うと思った事が一つあります。それは、トラックの駆動部分の共通化です。これは米国のトラック輸送はエンジンのついた駆動部分が共通で、荷台部分をとりかえれば、コンテナ車になったり、長大輸送に使えたり、はたまた車両運搬車になったり、いくらでも取り替えがきくのです。これは、故障などのメンテナンスも、また車両のやりくりなどコストを下げる効果が大きいのではないかと思います。ですから、ハイウェイには時々駆動部分だけの車両が何も引っ張らずに走っているのを目にしますし、倉庫の駐車場にはコンテナ部分だけが置かれているのも目にします。

経費をかけない、ボランティアによる活動
米国では、ボランティアの活動が、地域での活動や社会的な活動の支えをしている例が沢山あります。私の聞いたいくつかの例をご紹介します。まず、研究者の学会の話です。TEXASのSan Antonioで開かれたある学会には約5万人が参加したそうです。その運営は、1年前から準備局ができて、そこには5人のスタッフが専属で任命されたそうです。その人たちを中心に、研究者の所属する地域に対して、原稿のタイプ打ちや、校正などのボランティアを募ります。少しでも手伝える人はだれでも応募できます。そして、各グループごとにやり方を教わり、奉仕するそうです。開催場所では、学会の開催中の道案内や、イベントの案内、宿泊の手配の手伝いなどを、これまたボランティアがやるそうです。開催場所である地元の印象を良くするために、みんな一生懸命ボランティア活動をするそうです。スタッフ5人でボランティアは数え切れないと言っていましたから、少なくともボランティアは数百人以上になるとの事でした。

それとは別ですが、博物館にもボランティアが活躍します。博物館が賑わうのはやはり、休みの日が中心ですから、会社勤めの人でもできるわけです。カリフォルニアで行った博物館、水族館ではボランティアの人が展示の説明や、生き物の取り扱い方など説明していました。
見たところ、退職後と思える人もいましたが、勤めを持ちながら、休みはこのような奉仕活動に当てている人も多くいました。活動している人たちが、他の人たちに教える事を、楽しみながらやっている事が良く分かります。人を喜ばせることの価値を味わいつつ、来た人には楽しさを知ってもらおうという姿勢が感じられました。

経費を減らす、低賃金の人の活用
これは、米国の多様性の大きな特徴でもあります。しかし、単に低賃金の人を雇うというだけでなく、いくつかの仕組みが入っている事も多いです。一番目は退職後の人の活用です。米国でも退職後の生活は、年金だけでは不足する事もままあるようです。その時には、不足分の補填という働き場所を探します。例えば、自分の好きな時間に勤められるレストランで働くとか、パートをやるとかがそれに当たります。そうすると、必ずしも高い賃金が保証されなくても、生活は楽になるわけです。他には、レストランではウェイターはチップだけを収入源にして、店からは賃金はもらわないと言うのもあるそうです。そうなると、店としては人件費をかけないでサービスが出来る事になります。また、ウェイターもサービスが良いとチップも増えると言う循環になります。有名なレストランは、ウェイターになりたい人が、順番を待っているといいますし、ウェイターが自分の名刺を差し出す高級レストランもいくつかあります。

インターネットの活用によるコストダウン
インターネットというインフラが出来上がったために、今までとビジネスの仕方が変わったものがいくつかあります。一つは、ソフトウェアのユーザーサポートでしょう。これはもはや、インターネット無しでは出来ない状況です。機器のドライバーソフトウェア、バグ修正すべてネット上での操作で対応できています。それから、FEDEXに代表される、荷物の追跡情報です。これは、送られた荷物がどこにあるかをたちどころに、明確にするものです。客は手数がかかるのですが、電話での問い合わせと違って、確実につながるのでとても役に立ちます。FEDEXはインターネットによって電話対応を廃止する事で年間数億円のメリットを出したそうです。

お客に作業を分担してもらう
お客の力を借りながら、仕事を進めてしまうやりかたは、FEDEXはうまく取り入れています。端末を会社において、そこから発送手続きをオンライン化しているのもFEDEXです。使いやすければ、お客も使いますし、逆に客離れを防ぐ事も出来ます。考えると、なかなか良く考えた仕組みだと思います。最近では、郵便についても端末で(切手代が)スタンプされるシステムが出てきました。これも、同じような顧客囲い込みの現われです。また、通信販売や、インターネットの販売も、かなりの作業をお客に負担してもらっています。そこでは、小売りより安い商品や、特別なサービスなどが盛り込まれていますが、ビジネスサイドから見ればのコスト低減が大きな目的でしょう。
このようにコスト低減という観点からも、いろいろなアイデアが実現されているところが、米国のビジネスの活気を支えている一つの要因ではないかと思います。

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