【復刻】 026 ワイナリーで考えたこと 19980309

先週の週末は、シリコンバレーから、北に１時間ほど行ったにあるNapa Valleyという、カリフォルニアワインの産地に行きました。今回は日ごろから苦労をかけている家内に、１８回目の結婚記念日のお祝いをかねてゆっくりしてもらおうと、１泊で出かけました。本当は熱気球に乗って、空中散歩をしたかったのですが、早朝の天気が不良で、飛行は中止になってしまいました。しかし、ワイナリーに出かけて、いろいろなワインを試飲したり、温泉に入ってゆっくりしました。ここで考えたことなどご報告したいと思います。

カリフォルニアワインについて
私は、ただの酒飲みなのでワインについては、まったく知識も持ちあわせません。カリフォルニアワインは今から１５年くらい前に日本で飲んだときに、なんてとげとげしいワインだろうと思って、あまり、好きになれませんでした。しかし４年前に米国出張で、再び飲む機会がありました。その時に、随分味が良くなったことを感じました。それから2年半前に米国に来てからは、ワインといえばカリフォルニアという感じで、随分親しみがもてるようになりました。Napa Valleyに出かける前の週に、ワインについては、一家言お持ちのMさんのところで、ワインをごちそうになりながら、その奥行きについて、話を聞かせてもらいました。奥行きの深さは私の想像を超えており、入り込んだら底知れないところまで引き込まれそうな感じを持ちました。

インターネットとNapa Valley
４年前、私が始めてインターネット（当時のブラウザはMOSAICでしたが）に触れて、Virtual Touristのページから入っていった行き先が、Napa Valleyにある、Wine Trainのページでした。これは、ワインを飲みながら、食事をする専用列車で、ぶどう畑をゆっくりと走る観光列車です。そんなこともありまして、Napa Valleyにはインターネットを通じた知識はありました。今回は現地に行くことになったわけです。Napa Valleyは東西を山に挟まれた、盆地状の地域で、広々したワイン畑の間に４００以上のワイナリーが点在しています。一般に開放されているワイナリーは、試飲や見学をさせてくれるます。今回いくつか回ったところで、確認できたことなどまとめてみたいと思います。

時間の考え方
最初に入ったワイナリーでは、まだ若い青年が試飲をすすめてくれました。彼は大学を出て、シリコンバレーで３年ほど働いて、現在はNapa Valleyの近くで働いているそうです。週末はワイナリーの手伝いをしていると言っていました。彼の説明では、ワインには、出来立てより熟成してから美味しくなるものも少なからずあるそうです。それは、専門家が味見をしてあと何年でおいしく飲めるかというのを判定して、お客に買ってもらうそうです。そうすると、何年分かは、自分でストックを持たないといけないことになります。私はワイン好きの彼にどのくらい、ストックを持っているのか？と聞いたところ、３５ケース（４２０本）持っていると答えました。３年後の飲むもの、５年後に飲むもの、いろいろあるそうです。ワインのコストもさることながら、それらを、冷暗所に入れて保存するのですから、なかなか手のかかることです。

ハイテクとカリフォルニアワイン
カリフォルニアワインは、確かにおいしくなりました。私はその原因も知りたいと思いました。まだ結論は出せませんが、ヨーロッパのワインを解析して、その特色をつかみ、重要な発酵技術や土壌、使用材料を徹底的に導入を図ったのが一番大きな原因のようです。それで、現在のようなカリフォルニアワインが出来たそうです。しかし、いくつかのワイナリーではそれらを超えて、コンピューターコントロールの発酵樽も作り出されています。さすがに熟成工程はすべて木の樽で行われていました。その熟成室では、ワイン樽がうずたかく積み上げられ、ひたすら熟成を待つと言う静かな場所でした。そこでは、ゆっくりした時間の流れの中に、着実な一つの方向に向かって進んでいる生きているワインが感じられるようなところでした。

日ごろ、ワインのたしなみの無い私には、発酵という酵母の力に任せた工程と、熟成と言う人間が待ち構える時間とが、複雑に絡み合っている面を見ました。日本酒や、ビールなどどちらかと言えば、新鮮さを必要とするものに慣れ親しんできた私としましては、お酒には飲むべき適切な時間があるという見方を学ぶ機会になりました。その意味で、ワインは心して飲むべしと言うことになりました。とりあえず、２年後の結婚記念日に飲む、赤ワインを１本買って帰りました。

Napa Valleyについては、次のホームページに紹介が出ています。
http://www.napavalley.com/
また、日本語では「地球の歩き方」のページにも紹介が出ています。
http://plaza.globe.or.jp/gio/silicon-valley/napa_valley2.html