【復刻】 015　シリコンバレービジネスと気候の関連　19971215

シリコンバレーに８月に引っ越してきてから、まだ４ヶ月しかたっていないのですが、以前住んでいた街と比べて気候はぜんぜん違うというのが実感です。８月から１0月一杯までは、雨が降ったという記憶はほとんど無いのですが、11月に入ってからは、逆に天気の日の記憶が少なく、やや戸惑いを感じています。今日も夜半まで雨が降った後、今はどんよりとした天気になっています。

カリフォルニアの天気って何だ？
澄んだ青空、強い日差し、確かに10月まではそうでした。でも、今の季節ではもう違うのです。垂れ込めた雲と、よく降る雨という感じで、これじゃ日本海側の天気とそっくりではないか、と思うこともあります。先週はＳａｎ Ｊｏｓｅ空港に雪が降ったというし、やはり冬の気候になっているのは間違いないのです。ただ、それでも気温を見ていると、朝晩でも５℃位で日中は１５℃前後ですから、それほど寒くはないのです。逆に季節感という点からは、あまり冬だ！という感じもしませんし、街を歩いている人のうちＴシャツの人も結構目にします。（１割以上います）どうも、冬は雨がちで、どんよりした天気になるのは、西海岸性の気候の特色なのかもしれませんが気温は決して冬ではないのです。

冬に芽を出す草もある
シリコンバレーと呼ばれる一帯はバレー（渓谷）という言葉のとおり、両側を小高い山に挟まれた狭い谷間に位置しています。太平洋側に面した東側の山とサンフランシスコ湾の西に位置する山並みにはさまれています。東側の山は、太平洋からの湿気が一年中来ますので、緑の濃い森を形成しています。それと反対にある西側の山並みは、夏の間はほとんど雨も降らず、高い気温と少ない水分で、植物はほとんど育ちません。夏は西側の山並みを遠くから見ると茶色の山肌をしています。ところが、この山並みは冬になり雨が降るようになると、植物が芽を出すようになるのです。１０月まで茶色の山肌が１２月に入って緑色に変わっているのです。四季の移り変わりがあまり変化が無いと思っていたのですが、こんな季節の逆転現象を見ると、とても不思議な感じさえしてきます。引っ越す前に不動産屋の人たちに、シリコンバレーの両側で気候が大きく違うことを聞かされました。太平洋側は雨が多く、内陸側はほとんど砂漠に近い気候だという説明でした。その中で、シリコンバレーのあたりが、季節の気温の変動が少なくて住みやすいですという説明でした。確かに、ほとんどの家には冷房がついていませんし、夏でも朝晩はしのぎ易かったです。ところが、冬になると雨がちなのですが気温はあまり寒くならないのです。

ビジネスに対する気候の影響
シリコンバレーの中心地サンノゼ市は、今年輸出額で見ると米国でＮｏ１の都市になりました。去年まではニューヨーク市でしたから、名実共に情報産業が輸出の花形産業になったということを表しているわけです。そして、その背景にはこの気候が関係しているのではないかと見る人も多くいます。その理由は、次のとおりです。まず、温暖な気候で、人々は一年中快適に仕事ができること、次に、自由な雰囲気が広がっているために、いろいろな考え方にしたがった生き方をしたり、見る機会が多いこと。そして３つめは周囲にあまり娯楽もなく、しかも比較的知的レベルの高い人たちが集まっているので、最先端の情報や文化を知る機会が多いことではないかと思います。以前ヒッピー文化を生み出したところでもあり、独自の文化は今でもカリフォルニアのカルチャーの一つとして引き継がれています。また、激しい競争にさらされているビジネス社会ですので、健康に関心の強い人が多く健康増進の活動がたくさん見られることです。食品やビタミン剤などの摂取方法だけでなく、ジョギングやアスレチックの活動も盛んです。市営の運動公園のほかにも、アスレチックの会員ジムがあります。以前の街では教会がものすごく多く見られました、シリコンバレーでは健康増進施設が同じ位見られます。一人一人のベンチャースピリットと関係してくるのかどうか分かりませんが、私の気づいた違いの一つです。私はといいますと、以前住んでいた街では冬の間のジョギングは寒すぎて続かなかったのですが、こちらでは今でも何とか続いています。これはひとえに、朝起きて、さあ出るぞというときの気温によるのです。そんな点を考えると、確かに気候が人々の経済活動に与える影響も、決して小さくないのではないかと思えてきます。窓の外を見ますと、さっきまでどんよりしていた空でしたが、今では青空が顔をのぞかせて虹がかかっています。