米国は、ご承知のように巨大な消費国家です。消費が好きな国民ですが、商品に対する見方はかなり厳しく、いろいろなところから情報を入手して消費の際の参考にしています。今週は消費のための情報の種類と使われ方について、ご報告したいと思います。
消費者が入手する情報には次のようなものがあります。
1. TVや新聞などマス媒体による企業からのPR情報
2. 雑誌など、出版社によって発信される消費者情報
3. 消費者情報専門の出版物による、製品評価情報
4. 政府による情報
などがあります。
1,2については、コマーシャルの質量ともに膨大であります。そして、一見、客観情報風でありながら、しっかりとPRになっているものもも多く見られます。
3は、特に米国で大きな信頼を勝ち得ている消費情報源であります。
4は、たばこやアルコールの害について情報を提供しているFDA(連邦食品衛生局)や、ガンの予防のための食品摂取についてはNIH(国立衛生研究所)などがレポートを出して、消費者に情報を提供しています。これらは、企業や消費者に対する規制を制定することもあります。
提供される情報の質
企業や、出版社からの情報はその商品のスポンサーの意向に従うというのが、原則的な姿です。
あえて取り上げるとすると、他社商品との比較広告が結構取りいれられているところかもしれません。それは、企業が他社と比べてどのようにマーケットに入って行こうとするのかわかりますし、またその商品がどのように設計されているかを見ることができますので、参考になる情報です。
政府からの情報は、データに裏付けられて出されますので、国民はそのデータに基づいて、一人一人で考えることになります。
そのときに、強い味方となるのが消費者情報専門紙です。これは日本では、「暮らしの手帖」にそのような製品比較情報が載っていましたが、その情報量を百倍にしたようなものです。
この種の情報誌で、一番信頼があるのが、“Consumer Reports”誌です。これは、月刊で日本の週刊誌のような装丁で、厚さは半分くらいです。値段は一部$2.95です。この月刊のほかに、別冊もありまして、“Buying Guide”というものが毎年発行されています。その内容は新商品の解説や、今後の技術向上見通しや、同種製品の評価ランキングが載っています。まとめられている商品の範囲は、消費財一般でして洗濯機などの家電一般や車、オーディオや電話などを中心に、最近では、時代の流れに合わせてパソコンや周辺機器などの評価ページも増えてきています。
これらの情報の背景
米国の消費財のうち消費者にとって支出が一番大きいのは自動車でしょう。それに対応して、消費者専門紙の取り扱う項目では自動車が一番大きくなっています。実際車の情報を見てみると、新車はもちろんですが、過去発売された車の信頼性の比較が、きちんとまとめられています。
発売年次別に、エンジン性能や、ミッション、塗装の善し悪しなど、16のポイントについて性能比較をしています。そして過去8年間さかのぼってデータがまとめられていますから、新車を買う人にも、また中古車を買う人にも、とても有益な情報を提供しています。評価の方法や、基準については毎回明確に書かれており、それに従ったデータでの判断がまとめられています。
価格も大きな評価ポイント
友人に聞くと、この情報誌は評価のやり方、データの正当性で一般消費者から高い信頼を受けているそうです。もちろん、出版社としての経営はしていますが、すべて購読料でまかなわれていて広告のページはありません。そして、評価項目の中で価格というのが結構大きな評価ポイントになります。ちなみに、ボールペンの評価を見ていたら、性能はヨーロッパ品が圧倒的に良いのに、価格が高いことが理由で、お勧めは米国品になっていました。確かに価格が4倍くらい違っていました。このように、消費好きの社会の背景には、かなり冷静なデータが存在しているように見えます。
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