【復刻】 008 シリコンバレーの自然 19971020

シリコンバレーにも秋がやってきましたが、私にはあまり季節の移り変わりの感じはしません。
確かにプラタナスは黄色い葉を落とし始めましたし、コスモスも咲いています。でも、やしの木が街路樹として立っていたり、今でも泰山木の花が咲いていたりして、今一つ季節の感じがしないのです。確かに朝晩は、寒くなりました。でも、何かが違う季節感です。いろいろな季節が、折りたたまれているというのが、正確な表現かもしれません。それは、気温の変化にも表れていて、真冬でも冷え込まないこととつながっているのかもしれません。もう少し、詳しくご紹介します。

シリコンバレーの気候
カリフォルニアの気候は、西海岸性の気候で、地中海の気候と良く似ています。太平洋に沿った比較的幅の狭い範囲は年間の気温の変化も小さく、安定した気候条件になっています。ですから、農産物を見ると、地中海で取れるものが、カリフォルニアでも出来ていることが分かります。
今でも、オレンジやレモン、ぶどうなどが栽培されていますし、街中ではオリーブの樹をときどき見かけます。その、太平洋沿いの狭い領域を更に内陸に行くと、そこは砂漠になります。そのあたりになりますと、気候としては砂漠気候になります。シリコンバレーは太平洋に近い比較的気温の変化の少ないところに位置しているといえます。今でこそハイテク産業が主要産業ですが、いまから１５年以上前まではいたるところ、プルーンやオレンジや桃などの果樹園か、牧場と言った感じのところだったそうです。そんな話とは関係なく、現在は、このあたりは建築ラッシュで、一年間前の空き地や果樹園はどんどんとビルやアパートが建ち、次々と様相を変えています。気候がどのくらい住む人や産業に影響を与えるのかは確かめようがありませんが、こちらに来てから、３ヶ月間、雨らしい雨と言えば、月に一度くらいしかありませんでした。本当にドライなところだと実感しつつあります。ただこれからの季節は、雨が多いようです。

その他の自然
こちらに来て、気がついたのは、以前いたところと比べて、鳥が多いことでしょうか。ハッミングバードと呼ばれる、ハチドリは、砂糖水などを吸いに我が家の周りにも来て、その独特の静止飛行と瑠璃色のきれいな姿をを見せてくれます。このほかには、海鳥や渡り鳥など、随分見かけます。そして、街の周囲には、幾つかの保護区が指定されていまして、海辺や山に湖の周囲などが自然保護の領域となっています。動物は、といえば街中にはリスがいるくらいで、あとは宅地開発が進んで、どの動物も住みにくくなっていると思います。しかし、南北に伸びるシリコンバレーの西側には、緑の濃い山並みが走っています。その山の中には、いろいろな野生動物がいるということを聞いていますが、まだ目で確かめたわけではありません。
これは、自然と呼べるのかどうか分かりませんが、こちらでも、植物はよく手入れされていて、特に、街路樹や芝生などに、ある時間になると、木に水を供給する自動散水装置が地中に埋め込まれているのを目にします。決して少なくない水の量与えているのですが、私から見ると、水がもったいないと思われるのですが、こちらではそれよりも、植物を生かすほうに価値が置かれているように思います。
公園などは、街の中に点在していて、大きな木が茂り、芝生に囲まれていたりします。
スポーツ施設も、その中にあることも多く、公共の施設であれば使用料はタダか、とても安く、使いやすい状況です。我が家も税金を負担している分は何とか取り返したいと考えていますが、なかなか時間が取れず、回収は進んでいません。

私の見るところ、シリコンバレーもやはり開発により、自然はだんだんと減ってきています。それを、今までの、大規模開発による生産設備の拡充というパターンから、これからの情報価値の生産がどのような進み方をして行くのか、シリコンバレーの”生産性”と”環境との調和”に対する真の実力が問われているような気がします。