- 2011年8月15日 20:27
GoogleにはGoogle.orgというNPO組織がある。これは、Google.comのビジネスとは一線を画し、人類の現在の問題の解決(天災被害に対応するソフトウエア提供)や、人類の将来の問題を技術的な問題をして取り組む組織である。
今回、CleanTechへの投資はInnovationを誘発し、米国経済にはプラスという報告書が公開されたので、概略をご紹介したい。
【再生エネルギー導入のシナリオ】石炭の発電コストと競争力が必須である。
まず、はじめは政策誘導で市場が立ち上がるが(〜2020)、その後、石炭火力発電所の新設コストを下回ことにより、シェアを高めてゆく。(〜2030)
そして、(Innovationにより)既存の石炭火力の電力コストを下回ることで、2050年には再生エネルギーによる発電量が化石燃料を圧倒的に凌駕する。(図−1)
(図−1)再生エネルギー電力と石炭エネルギー電力のシェア予測(2010−2050)
【各種再生エネルギーコストの推移予測】
(図−2)は各種再生エネルギーによるコスト推移予測図である。
(図−2)電力源のコスト推移比較
電力源は左から、風力、洋上風力、太陽電池、太陽熱、地熱、原子力そして炭酸ガス吸収分離の石炭火力。色はそれぞれ2020年から2050年までの推移を示す。
この図からわかることは、2020年には石炭火力発電の新設はどの再生エネルギー発電よりも高くなる。2050年には太陽電池や地熱、風力が現行の屋力発電コストを下回ることが予想される。
【自動車業界に起こる変化】
自動車業界への変化も大きい。
(図−3)は2010−2050までの、小型自動車の動力源の変化の予測である。
下から、内燃機関、天然ガス車、HEV、PHEVそして自立電池搭載型EV(燃料電池EV)を示す。
(図−3)自動車動力源の変化予測
【GDPへの影響】
(図−4)は技術開発が早ければ早いほど経済効果が大きいことを示す。
BAUが現状のままを維持したケースで、開発が遅れた場合に対して順調に開発が進んだ場合、更にCO2のコストがトン当たり$30となった場合を比較する。
最大2−3兆ドルのGDPへの貢献が期待できる。
(図−4)技術開発を加速するとGDPが増加
【考察】
今回紹介した報告書は、Google.orgがエネルギーに関する「技術開発の投資効果」をレポートとしてまとめたものである。具体的な「技術開発内容」が無いままの報告書なので、根拠については色々議論があるだろう。
しかし、ある仮説を設定してそのシナリオに向かって進むというのは、シリコンバレーでは定着した手法の一つである。ムーアの法則が代表例で、半導体業界はこの法則に従って50年近く変化してきている。
その観点から、この報告書を読み取るのは十分意味の有ることだと考える。
報告書は次のサイトからダウンロードできるので、興味ある方は詳細をお読みいただきたい。
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