【SV】 DESKTOPからWEBTOPへ

もともと、ベンチャーであったCISCO Systemsを4兆円の売上げまで引っ張ってきたCEOのJOHN CHAMBERSの言葉である。

San Jose Mercury Newsとのインタビューで、90年代に起こった（インターネット）革命と同じくらい大きな変化が、ハイテクを中心に2005年から起こっていると答えている。　ChambersはCiscoのCEOとして17年間、舵取りをしてきた。
ここで、John Chambersへの直接のインタビューがVideoになっているので、是非見ていただきたい。

1992年にはすでに、受注処理の90％はInternetでやっていたと述べている。　CEO就任以来会社のコアコンピタンスを定め、従業員が自分で仕事を切り回しできるようにしてきた。　時代を予見して、CISCOをここまで引っ張ってきたChambersの話をまとめてみる。

2005年から起こっていることは、Web2.0（ツー・ドット・オー）とSocial Networkingの浸透による大変革が必要になるということだ。　Collaborationによる仕事のやり方と、Entertainmentの（配信方法）が大きく変わることに端的に表れている。　この大変化は90年代の前半に起こったことととてもよく似ている。　市場構造が強烈に変化しているので、これからBusinessの収益構造と仕事を創造するやり方がものすごく変わる。

Entertainmentでいえば、今までDESKTOPで利用していたものが、WEBTOPに変わるということである。　それは、Laptopで楽しむか、TVで楽しむか、iPodなのか、Xboxなのかで使う人から見たら、自分が気に入ったものでいいわけである。　そのことは、Networkにとっては、とんでもない変化である。（今までは、DESKTOPに置かれていたものがData Centerに置かれることになるのだから）

Ciscoは、社内で、分散型で共同的な仕組みをいち早く導入した。　その理由は、ビジネスに一番近い人が、最適の判断をし、他の相互依存（依存というよりは相互関連に近い）する部署と連携を取り合って仕事をするようになっている。（そのCISCOのLeaderたちの中でさえ20％近くが、命令管理型であるのは残念だが）

米国の経済は、停滞するかもしれないから、注意する必要はある。　
しかし経済が順調だろうと、停滞しようと、流れのスピードが変わるだけで、方向は変わらない。　私の戦略は、米国経済に左右されない、ただ前へと進むだけである。その時、多少のスローダウンはあるかもしれないが。　もともと私は、自分が（米国経済のように）コントロールできない事柄には、関心がない。　

そして、CISCOもこれから多くの失敗をすると思うが、その失敗の中味は、変化を捕まえようとしなかったり、ビジネスに必要なリスクをとらなかったりということでないことを希望している。
Cisco will make many mistakes, hopefully it will not be one of not trying to catch transitions and taking good business risks when they're appropriate.

むしろ重大なことは、昨年　先進国の市場規模よりも、発展途上国の市場規模の方が（GDPとして）大きくなったということである。　購買力が先進国を抜いたわけである。　そして、それらの国々は、技術を先導し始めた。　これらの新しい市場に出るについて、われわれは5年後の姿を考えた。　それをふまえて、2-4年後は何をすべきか。　そして12ヶ月から18ヶ月では何をすべきかのように考えている。　

米国では、企業に対する新しい革新はここ暫く起こっていない。　だから生産性も格段向上していない。　そこで、多くの企業のCEOたちは、ではGoogleはどうやっているんだろう？と、新しい分野の革新技術に注目している。

シリコンバレーのベンチャーを、堂々たる大会社に仕上げてきた会社経営者の「覚悟」がしっかりとこのインタビューにも表れている。

ちなみに、John Chambersの好きな作家は、T.Friedmanだそうだ。　
私のブログでもFriedmanの 「フラット化する世界」 と、　「レクサスとオリーブの木」 で取り上げている。　特に「フラット化する世界」は、現在を中心に、変化しつつある世界に対する、時間と空間の視野を広げてくれる。　いい本だと思うので、ご一読のほど。

インターネット革命と、Web2.0革命については、田坂広志氏の「プロフェッショナル進化論」に詳しい。　こちらも、取り上げている。