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【本-01】 フラット化する世界(05) T. フリードマン

三重の集束とは、10のフラット化により、個人とビジネスが新しいプロセスを作り上げ、中国、インド、ソ連からの参加者がフラット化した競技場に参加し、そして若い人たちがつながり、共同作業できる場ができたことを表す。

第一部 世界はいかにフラット化したか
   第三章 三重の集束
   第一の集束
   10のフラット化の要因は1990年代から起こりはじめていた。 それらは、鉛筆と紙は、別々では各役割ができない。 しかし両者が同時に存在すると互いに持つ力を大きく発揮できる。 これと同じことが、10のフラット化の中で起こり、それも、2000年ごろから顕著な力となってわれわれの周辺に出てきた。 個人とビジネスが新しいプロセスを作り上げたのが、第一の集束である。 この条件の下では、冨は三つの基本的条件を押さえている国、企業、個人に生じるようになる。 フラットな世界のプラットフォームに接続するインフラ、このプラットフォームを徹底的に活用するイノベーションを推進する教育、そして、このプラットフォームの利点を最大化し欠点を最小化するガバナンス体制。

   第二の集束
   新しいプラットフォームも、新しいビジネス手法と組み合わさったときにはじめて生産性は急上昇する。 Walmartの(世界をつなぐ水平な)サプライチェーンがもたらしたものが、水平化と呼ばれる第二の集束である。 IT導入とITの経済効果には時間遅れがある。 これは、コンピュータが変わってもビジネス自身は変わらないが、新しいビジネスプロセスとビジネススキルが揃ったときに、ビジネスが大きく変わる。水平に協力管理するには、今までのTOPDOWNではないスキルが必要になる。

   第三の集束
   フラットで水平な競技場が出来上がったところで、今まできわめて垂直なヒエラルキーに押さえ込まれていた人たちが競技場に参加してきた。 それらの国々は、中国、インド、ロシア、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中央アジアの人々のことである。 これらの人々にとっては、自らが外に出ることはなく、競技場が向うからやってきたのである。 これらの国々の人たち、約30億人が、参加してきた。 すべての人たちが、従来のビジネスプレイヤーのような高い知識や教育を受けていなくても、これからの成長を約束された若者達が、熱心に追いかけてきている。 そして彼らは旧来の仕組みの持つ価値などに拘泥することなく、新しい仕組みを取り入れることができる。 

ここでは、ビジネスのやり方に根本的な変化が起きている。 それは、今まで先を走っていたからという考えではなく、すべてがフラットで協力する仕組みに変わったという本質的な変化である。 清華大学は2004年に設立90周年式典を行った。 これは、次の100周年には世界の一流大学としての式典を行うための予備式典になっていた。 それほどまでに中国政府も大学もこの大学の将来を確信している。 あらゆる人たちがフラットな競技場に参加してきて、その中から次の技術や仕組みや、ビジネスを生み出す活動に参加できるようになった。 光ファイバーとインターネットとワークフローが世界を結んで、共同作業を拒んでいた壁をすべて吹っ飛ばしてしまったのである。   
 
   第四章 大規模な整理 
   世界が、一つのグローバルな市場になるかもしれないと見たのは、マルクスが最初の人である。 その時の規範は、マルクスではブルジョワであったが、現在ではネットワークという人もいる。 実際eBayは新しい世界での新しい規範を、公開された出展者の評価に置き換えた。 これは、建設的な面での例であるが、Wikipediaの意図的な記載や、ネットワークのテロへの利用なども同時に起こっている。 従来の近代的国家や、政府、団体、報道機関が新興のネットワークやバーチャルコミュニティーや企業と協力し、フラットな世界で活動するための新しい規範や境界を徐々に作り上げなければいけない。 フラットな世界の国内と国同士、そしてネットワーク内とネットワーク同士が、政治的な議論の最前線で行われる「大規模な整理作業」をやってゆかなければならない。 

   フラットな世界では、インソーシングとアウトソーシングが誰に真の利益をもたらすのか、考え抜かないといけない(P.335 インド対インディアナ州) そして、投資している人はフラットな世界から恩恵をこうむるが、それをもたらすのは、企業が世界中で一番利益を生むのをたやすくできるようになったからである。 このことは、それぞれの場所にいる人たちにとっては、安定した経済を約束しないところからスタートしている。

   世界がフラット化すると、小市民に大きなことができるようになるだけでなく、大人物には些細なことができるようになる。 それが、ヒエラルキーをフラット化する。

   知的財産についても、取り扱いを見直す時期に来ている。 発明者の所有で、発明のインセンティブを強めるべきという考え方の他に、社会全体で使われることが重要であるという考え方も出てきている。今までの世界で、人間的な部分にあった価値は、フラットな世界では消えてしまうかもしれない。この本は、その議論のたたき台としても使われることを願っている。

   第二部に続く

 

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