- 2007-12-02 (日)
知識創造企業 という名著と呼ばれる本を読んだ。 昔読んだ本であるが、私の頭の中には暗黙知と形式知が創造のメカニズムであるというところくらいしか残っていない。 しかし、今回再び読み直してみた。 いろいろ発見があったのは良かった。
1995年に海外で出版された本を、1996年に日本語に訳したものである。 今更読むと、日本の企業が、ここに書かれていることをやっていたら、少なくともITへの投資効果は出ていた気がする。 マッキンゼーの調査結果をまとめた Mobilizing Minds: Creating Wealth from Talent in the 21st-century Organization を読んでみると、基本的な枠組み、トップダウンでもなく、ボトムアップでもない「ミドルアップダウンマネジメント」の構想は、すでにこの本のなかにあるし、ITを利用した知の共有で、会社の創造性や、企画商品の開発への応用なども花王の例で、紹介されている。 すなわち、英語版の本のデータをまとめる1995年以前に、予見されていた事柄が、Mobilizing Mindsでは米国企業の成果としてまとめ上げられている。
後者の本は、1995-2005年までの米国企業の、市場価値増大を、階層構造の横通し化=「ミドルアップダウンマネジメント」、そしてIT活用による、社内の暗黙知から形式知への組織的な転換促進などを活用して達成した、というわけである。 知識創造企業を読んだ人間にとっては、どう考えても後出しジャンケンゲームである。 こんなことは、今までもTOYOTA生産方式に対する、Lean生産方式、TQCに対するシックスシグマなど、取り上げたらきりがない。 ここで認識したいのは、自分で考え、自分で実行することしか、成果はとれないということ。 そのことが、米国企業の「チャレンジ精神」を優位に導いている。
前者の本で引用された日本の会社は、当時も頑張っていたし今でも健闘している。 やはり、積極的に勉強し、トライし、修正し、成果に向かってゆくという姿勢が重要なのだと思う。 後出しジャンケンは悔しいが、そこから学ぶべきものは、「自分で考え」「自分で道を開く」ということではないだろうか。 このあたりまえができることこそ、経営の本質なのだと思う。
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