世界が、なぜこんなに広がりを持ってきたのか。 それもここ10年間ぐらいの間にインターネットというツールの拡がりと共に、世界中の国ができることを「どしどし」やり始める。 その先頭を走っているのが、IndiaそしてChinaである。 筆者はNY Timesの記者をしておりこの本は、サバティカル休暇を利用して「取材」しまとめ上げられた。 知的な内容で、視野が広く、そして奥行きが深い。 これは、世界の現場情報を足で稼ぐことと、Web上で起こっていることを実際に体験して、その体感から記事を書くという、ジャーナリストとして飛び切り質の高い人による本である。
とりあえず、目次を羅列してみると
第一部 世界はいかにフラット化したか
第一章 われわれが眠っている間に
第二章 世界をフラット化した10の力
フラット化の要因 1 ベルリンの壁崩壊と、創造性の時代
フラット化の要因 2 インターネットの普及と、接続の新時代
フラット化の要因 3 共同作業を可能にした新しいソフトウエア
フラット化の要因 4 アップローディング:コミュニティーの力を利用する
フラット化の要因 5 アウトソーシング:Y2Kとインドの目覚め
フラット化の要因 6 オフショアリング:中国のWTO加盟
フラット化の要因 7 サプライチェーン:ウォルマートはなぜ強いのか
フラット化の要因 8 インソーシング:UPSの新しいビジネス
フラット化の要因 9 インフォーミング:知りたいことはグーグルに聞け
フラット化の要因10 ステロイド:新テクノロジーがさらに加速する
第三章 三重の集束
第四章 大規模な整理
第二部 アメリカとフラット化する世界
第五章 アメリカと自由貿易 - リカードは今も正しいか? (ここまでが上巻)
第六章 無敵の民 - 新しいミドルクラスの仕事 (以下下巻)
第七章 理想の才能を求めて - 教育と競争の問題
第八章 静かな危機 - 科学教育にひそむ恥ずかしい秘密
第九章 これはテストではない
第三部 発展途上国とフラット化する世界
第十章 メキシコ守護聖人の嘆き
第四部 企業とフラット化する世界
第十一章 企業はどう対処しているか
第五部 地政学とフラット化する世界
第十二章 フラットでない世界 - 銃と携帯電話の持込は禁止です
第十三章 ローカルのグローバル化 - 新しい文化大革命が始まる
第十四章 デルの紛争回避理論 - オールド・タイム vs カンバン方式
結論 イマジネーション
第十五章 二つの選択肢と人間の未来 - 11・9 vs 9・11
この本は、著者のジャーナリストとしてのレベルが高い上に、デジタル化のおかげで、2005年に初版が出た後、増補版が2006年に出された。 日本語版はこの版に基づいている。
しかも、更に改訂中だという。 Amazon.co.jpで見ると予約受付中になっているが、このように改訂がなされるのは、時代の流れが速いことと、著者が内容を常にチェックし、最新情報を伝えようとしている心意気の現れである。 そのようなジャーナリストになったT. フリードマン氏を育てた原点は他でもない、高校時代の先生(ハッティー・M・スタインバーグ)だったというところが、心を打つ。(下巻 P.160) 教育の原点は、耐えて学ぶことの大切さであると、フリードマン氏に教えてくれたということである。
この本の日本について書かれている部分を読むだけで、世界の中での日本の位置というのが分かる。 そして、シリコンバレーが新しい価値観の中での「考え方」「ツール」「仕組み」の部分でしっかり貢献していることも見て取れる。 少しずつ、読み解いていってみたい。
日本語の第三版の予約ができるようだ。
フラット化する世界 [増補改訂版] (上)
フラット化する世界 [増補改訂版] (下)
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