第一部 世界はいかにフラット化したか
第二章 世界をフラット化した10の力
1977年にはApple(SV)の手でパーソナルコンピュータが発売され、1981年にはMicrosoft社のOSを搭載したIBM PCが市販された。 1985年にはWindowsの最初のバージョンが発表され1990年にはWindows3.0が発売された。 これは、個人が発信者になれる(印刷技術以来の)歴史上でも画期的な出来事である。
フラット化の要因 1 ベルリンの壁崩壊と、創造性の時代
1989年11月9日にベルリンの壁は崩壊した。 計画経済の独裁政治から自由主義市場経済へと流れを変えた。
このことが、インドにとっては、自国の計画主義経済で動きが取れなかった体制を、世界市場に開かれた形にすることができた。
(同時に、ビン・ラディンにとっても、国境や体制を越えた活動ができるツールを手にした事になった)
フラット化の要因 2 インターネットの普及と、接続の新時代
WWWがCERNのバーナーズ・リーにより発明される。 1995年 Netscape(SV)によるブラウザの発明そして販売。 1995年8月9日にIPO。 オープンなやり方で普及させる。
Microsoftが、Internet ExplorerをOSにバンドルし、ブラウザシェアを急拡大。 1998にNetscapeはAOLに売却された。
その後、IT関連投資が一気に加速してバブルまで達し、2000年に崩壊。 しかし大容量で低価格な通信インフラは世界中に張り巡らされた。
フラット化の要因 3 共同作業を可能にした新しいソフトウエア
インターネットによる分業の現場、ディズニーのアニメを世界中に分担させて組み上げるワークフローとして作成し、稼動させる。 デザイン、映像作成、音声、のベストな人がいるところへ仕事を回す。
HTML、HTTP、TCP/IPなどの標準化の手順と、AJAX技術の結合で、このような仕組みがグローバルに可能になった。
しかもお客が仕組みを自ら作り出すようになった。 eBayはお客から言われてPaypalを買収することを選択したし、Salesforce.com(SV)は、お客のニーズに合わせたビジネスライブラリーを提供している。
このワークフローのソフトウエアは、ヘンリーフォードが製造業に与えた影響と同等に影響をサービス業に与えるだろう(P.133)
そして、このプラットフォームが、フラット化の6つの要因を生み出す役割をする。
その要因は、アップローディング、アウトソーシング、オフショアリング、サプライチェーン、インソーシング、インフォーミングである。
フラット化の要因 4 アップローディング:コミュニティーの力を利用する
1995年から2000年まではダウンロードの量が圧倒的に多かった。 2005年以降、アップロードの量がどんどん増えてきている。 そして、その中に3つの形態がある。 コミュニティー開発ソフトウエア、ウイキペディア、そしてブログとぽっどキャストである。
コミュニティー開発ソフトウエアではApacheというサーバーソフトウエアがあり、すでに全世界のサーバーで使われている。 IBMでは自社での開発よりもこのようなコミュニティー開発ソフトウエアと協力することがビジネス的にも、友好であることを検証した。 コミュニティー開発ソフトウエアの考え方はフリーソフトウエアの思想としてまとめ上げられている。 その内容は、できるだけ多くの人が制作や改良に参加し、無料で配布することで、グローバルな企業の支配を脱するすべての自由な個人に与えるというものである。 IBMはApacheに優秀な人財を提供することでコミュニティーでの役割を果たした。 そしてLinuxを開発したLinus Torvaldsもその仕組みに参画した。 こうして、オープンソース、フリーソフトウエア活動は、コミュニティーとしての活動を強め、ソフトウエア市場でもシェアを伸ばしてゆくのである。
オープンなやり方でスタートしたNetscapeは、現在ではその思想を引き継いだFirefox(SV)として、立ち上がっている。 ブラウザシェアでは16%になっているという。(2007年11月現在)
実業の世界でも、カナダの金鉱山会社(Gold Corp)では、鉱脈データを公開し、金脈を探す公開プロジェクトを立ち上げたところ、見事に鉱脈を探り当てて、成果を上げた。(2002年)
アップロードの一つの形が、ブログであり、それを集合させたものの一つがWikipediaである。 これが、すべて正しいというわけではないけれど、注意深く利用できるところを作り上げ使ってゆくことが、これからの社会には重要。
フラット化の要因 5 アウトソーシング:Y2Kとインドの目覚め
IITは1951年の設立。 厳格な大学運営で、勉学内容の量は、世界一かもしれないといわれている。 そしてY2K問題のアウトソースがIT技術者の急増を賄った。 その後、ITバブルは弾けたが、Y2Kの実績とIT技術者の質、シリコンバレーとのつながりから、電子商取引関連の仕事を、受けるようになった。 その後、インドはITに関する世界のアウトソース拠点となってきている。
続くーー
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