この本は、グローバリゼーションの拡がりの事実と、それに(米国は)どう対処すべきかを書いた本である。
(シリコンバレーが深く関わる部分を(SV)で記す)
この著者は、1999年に上下二冊の
レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体〈上〉
レクサスとオリーブの木―グローバリゼーションの正体〈下〉
という本を書いている。 この時点では、グローバリゼーションと民族主義の象徴としての、レクサスとオリーブの木であり、世界に現状を紹介することが本の主題であった。
しかし、英語版では第二版にあたる フラット化する世界(上) フラット化する世界(下) で書かれている内容は、グローバリゼーションの事実を踏まえた上で、我々と次の世代の人間は何をするべきかというところに、視点が向いている。 そして、レクサスに象徴されるグローバリゼーションによって、オリーブの木で象徴される民族主義も、多大な影響を受けていることが解明されている。 その背景にある、インターネットインフラが果たす役割を、冷静に見据えている。 この視点が、私がT. フリードマンを「質が高いジャーナリスト」と評価する点である。
ハイパーリンクを利用してブログを書くことができるようになっているから、本の中味の奥行きを確かめることもできる。 まとめながら読み進めよう。
第一部 世界はいかにフラット化したか
第一章 われわれが眠っている間に
グローバリゼーション(GLと略す)は、歴史的に見ると3段階を経てきている
GL 1.0 国家と腕力の時代(P.21)
1492年のコロンブスの新大陸発見から産業革命が浸透する1800年ごろまで
GL 2.0 世界統一を進める力 多国籍企業の展開(P.22)
1800-2000年まで
前半は輸送コストの低減、後半は通信コストの低減が原動力
GL 3.0 世界が狭くなり、競技場をフラットにし、個人がグローバルに力を合わせ、グローバルに競争する時代(P.23)
2000年のバブルの遺産で、世界中に光ファイバー網が整備されていた!(特に米国とインドにも大容量が確保された)
インドのバンガロールのアウトソーシング、中国大連のビジネスアウトソーシング
しかし米国内でも、Jet BlueのカスタマーセンターのようにUtah州の家庭の主婦に仕事をまわすこともやっている。(P.60)
MACのように、ドライブスルーの注文を、コールセンター化する試みも実施されている。(P.66)
ジャーナリズムの世界も、GL 3.0の影響の下にあり、取材はデジカメとデジタルボイスレコーダーで行えて、すぐにBlogとしてアップできる。
eBay(SV)の伝説的テクノロジストであるLouis Monier氏が Google(SV)に転職する(Financial Timesのスクープ)記事はJohn Battele氏のブログを通してであった。(P.73)
(氏は今年の9月にGoogleを辞めている)
そして、第一章は次のような言葉でまとめられている。(P.76)
人々が変化に呑み込まれるか、あるいは置き去りにされないように、変化を吸収するのが、我々の時代に課せられたやりがいのある大仕事なのだ。 どれも簡単ではない。 だが、われわれはやらねばならない。 当然の仕事であり、避けることはできない。 それをどう考察すればよいか、最大の利益をどうやって引き出すのか、という枠組みを提案するという大それた望みが本書にはある。
この言葉が、ジャーナリストからの言葉として出てきたという点で、T. フリードマンの卓越性が分かる。 第二章に続くーーー
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