- 2007-08-28 (火)
シリコンバレーのベンチャーの歴史のひとつなので、是非書いておきたいと思った
ECHELONという会社がある。 シリコンバレーでベンチャービジネスとしてスタートして、もうすぐ20年になろうとする会社である。 我が家から車で5分ぐらいのところにあるれっきとした、ものづくりの会社である。 1988年に設立され、 1998年にはNASDAQに上場している。 最近、知事のシュワルツネッガー氏や、国連事務総長が訪問して、なかなかにぎやかになっている。
この会社のCEOは Ken Oshmanという人で、1969年からROLMという会社を経営し、それをIBMに12.5億ドルで売却した人でもある。(売却後はIBMの副社長を務めた)
彼が1988年から始めたのがECHELONという会社で、ネットワークの基盤技術を機器と制御器を結びつけ、最適化や安全性の確保をはかる会社である。 これに資金を提供したのが、Arthur Rockである。 この人は米国を代表するベンチャーキャピタリストでもあり、シリコンバレーでは半導体企業を中心に投資して、産業形成に大きく貢献した人である。 彼のことは、この本にも詳しいし、私もシリコンバレーの説明をするときに、ベンチャーキャピタリストとして、産業を興すことに挑戦した人であると紹介してきた。
アメリカを創ったベンチャー・キャピタリスト―夢を支えた35人の軌跡 (Harvard Business School Press)
Echelon自身は日本でも拠点を持ち地下鉄や六本木ヒルズに制御器が入っているという。 しかし、1998年の上場後にいろいろ製品を出すが、そんなに大きなブレークは起こらない。 そして最近2年間は赤字に悩んでいた。 しかし、家庭や小オフィスの機器ごとの制御がひとつのBOXでできるようになったシステムが、ヨーロッパの電力会社を皮切りに、引き合いが多くなって、売り上げは急上昇で、今後のビジネスが確約される状況になった。
私がここで感心するのは「人」ありきの経営、そして「しがみつく根性」である。 「成功とは、成功するまであきらめなかった人に与えられる勲章である」といわれているが、シリコンバレーのビジネスにはまだそれが息づいている。 1988年といえば、Network機器やソフトウエアの会社が急成長していた時代で、90年代後半にはそのピークを迎えている(CISCO、SAN MICRO SYSTEM、ORACLEなど)
あれから、すでに10年。 成長はしなくてむしろ苦しみながらしっかりとビジネスを続けていた会社が、再び世界の脚光を浴びる。 この社長は 給料は年俸は10万ドルと書かれているが、住んでいるところはAthertonという、シリコンバレーでも超高級住宅地である。 こうやって見ると、IPOは目的でないこともわかるし、何もお金に困っているわけでもないのに、Oshmanは、チャレンジを重ねていたわけである。 Oshman 66歳。 彼の人生と会社に明るい未来があることを願う。
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