Home > 【SV】 シリコンバレー日本人ネットワーク

【SV】 シリコンバレー日本人ネットワーク

  • 2007-08-18 (土)

ネットワークはシリコンバレーのビジネスの基本だが

2000年のバブルを過ぎて、2003年一杯でバブル清算を行って、再び本来の、起業家たちが動き始めるタイミングとなった。私もMIXIや個人ブログを2年ほど前から始めた。 そして最近3ヶ月ほど。このシリコンバレービジネスブログをスタートさせた。 私個人はこの10年間で、2001年に大企業をやめ、ワンマン会社の米国拠点で人財紹介の仕事をして、一昨年の4月からは自営業ということになった。それぞれでいろいろ学ばせてもらったと思うが、シリコンバレーでは“出来上がって何ぼ?”の世界なので、形にならなければ相手にされない。 であるがゆえに、ネットワークを作るわけだがまずは、シリコンバレーの中での日本人ネットワークについて、私の知る限りで、変遷と現状を書いてみたい。

 2000年以前のネットワーク

 2000年以前には、シリコンバレーに日本の金融機関も、駐在員を派遣していた。もちろん、製造業、とりわけ情報通信関連の大手企業は百人単位での駐在員を派遣していたが。金融機関の中には、日本でもあまり知られていない、地方銀行も来ていた。 駐在員に役割を聞くと、曖昧な答えしか返ってこなかった。接待と体面を作ることが主たる目的で、投資や調査は役割ではなかった。土日は接待ゴルフ、平日の勤務時間中にゴルフの練習をして、その成果をWebに載せていた銀行員も出る始末であった。

 製造業の駐在は、案件探しや提携作業をするのが、本来の目的ではあるのだが、日本の本社や、研究所の「自社技術」志向が強すぎて、良い案件や、面白い技術もなかなか日本に取り次げない状況が続いた。駐在員で、その枠にはまらない人たちは社を辞めて、残り始めた。 90年代から、それが始まっている。 ネットワークはというと、ゴルフ親睦会を除けば、異業種交流での情報交換が中心であった。 代表的な団体である、Silicon Valley Multimedia Forum(SVMF)というのは、1994年に発足して、当時のNTTの駐在員が中心になって現在も活動を続けている。 その当時は、駐在員と現地の日本人との交流は多くは無かった。また、駐在員同士の交流も、飲み会ないしゴルフづきあいが中心で、仕事とプライベートそして、企業間の線引きが明確であった。

 2000年以降のネットワーク

 2000年以降のネットワークには、これらの動きが大きく変化してくる。一つは、日本の大手企業、とりわけ金融関係の駐在員の日本への引き上げである。現在、金融関係でシリコンバレーに駐在している人は、ほとんどいない。日本人でも、現地で採用された人が働いている。

 その反面、派遣された大手企業から飛び出て、シリコンバレーに残る人たちも、蓄積してある程度の人数になってきた。そんなことから、シリコンバレーの、日本人ネットワークが、動き始めることになる。

 まず、スタートしたのがシリコンバレーのエンジニアと起業家たちの集まりとなった。ウエッブ進化論の梅田望夫さんが発起人の一人でもある、エンジニアの集まりでは、Japanese Technical Professionals Association(JTPA
)が技術者10,000人、シリコンバレー移住計画を掲げて動き出した。ボランティアでの活動であるが、若い人たちが将来のキャリアを考える上で、シリコンバレーで仕事をしている日本人と、直接コンタクトできることで、日本からのツアーも年間数回ずつ行われ若い人たちに人気が高い。

 それとほぼ同時に、シリコンバレーの日本人起業家たちが、これから起業する人たちを応援する集まりを作った。Silicon Valley Japanese Entrepreneur Network(SVJEN
)である。これは、シリコンバレーで起業しようとする人たちを応援するもので、起業経験者たちが、具体的な相談に乗ってくれる。 それから、バイオの人たちの集まりということでは、Japan Bio Community(JBC)という集まりも活動を始めた。

 2004年に、日本の大学の将来のために、シリコンバレーに拠点を持つ日本の大学のネットワークを作った。 昨年からJapanese University Network in the Bay Area(JUNBA)として活動してきている。 今年の1月にはJUNBA Summittを開くことができた。 そして、日本のいくつかの大学は本気で改革を考えてきていて、シリコンバレーを大学の拠点として作る動きが増えててきているのは喜ばしい。 設立当初のことはこのブログの記事でも取り上げた。 そうは言っても、世界に通用する大学は日本からは出てこないのではないかと心配しつつも、私が重要だと思い、私ができることはすべて取り組んでゆきたいと思っている。

 ネットワークを支える、組織

 シリコンバレーでは、これらのネットワークを取り巻く団体も、積極的に協力してくれている。JETROのサンフランシスコは、San Joseにシリコンバレーで起業するためのIncubation施設を持ち、Start Upの会社の支援をしたり、各団体の会議場所を提供したり、積極的に協力をしている。また、現地の弁護士事務所なども、勤務時間外の時間帯には、このような集まりに、事務所を提供してくれる(無料で、軽食つきの場合も多い!)
実にありがたいことである。 シリコンバレーの支援の仕組みの奥深さが感じられる。


 シリコンバレーのネットワークの特色

 以前、NewsWeek日本版の取材に協力して、日本からシリコンバレーで活躍している日本人を紹介した。編集者が世界中の日本人の取材を終えて、最後にシリコンバレーに来た。

 私が紹介した中の5名ほどとインタビューして彼女が言った。シリコンバレーほど、独立志向の強い日本人たちが集まっている場所は世界のほかの場所では見たことが無いのと、ネットワークが浸透していて、お互いを良く知っている、いうことを言った。 私自身の経験からも、同意できる シリコンバレーは外からも見えるネットワークが存在しているのである。NewsWeek日本版の記事は2004年5月19日号である。

 他国のネットワークとの比較

 他のアジア諸国のネットワークに比べると、日本人ネットワークはおとなしい。私の見るところ、中国は、血縁プラスビジネス志向、インドはビジネス志向、韓国は系列ビジネス志向という感じである。

 今後、日本人ネットワークが情報発信だけでなく具体的なビジネス成果を生み出すためには、資金やインフラとしての応援できる体制が重要になると思っている。このような試みは、いろいろな蓄積を残すことになる。これらの活動で生み出されるものは、今後の日本にとっても、重要な無形資源、優秀な人財として伝わってゆくであろうことを考えると、暫くは気合を入れて取り組みたいと考えている。 

Technorati Tags: , ,

このブログ内をタグ検索: , ,

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.imanetinc.com/mt/mt-tb.cgi/91
Listed below are links to weblogs that reference
【SV】 シリコンバレー日本人ネットワーク from 八木博のシリコンバレービジネスブログ

Home > 【SV】 シリコンバレー日本人ネットワーク

Search
Feeds

Page Top