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【産学連携】 シリコンバレーが産学連携に果たす役割(6)

  • 2007-08-14 (火)

米国の移民政策は、シリコンバレーの活力源

米国は常に質のいい労働力を移民政策で受け入れている。 その中でも、毎年枠が少ないためにもめるのはH-1ビザという、技能職のためのビザである。 9/11以降ビザの認可がきびしくなったこともあり人数枠がすぐに一杯になってしまう。 ここでのビザの対象は、大学卒以上の高学歴者、あるいは米国にはいない特殊技能者(寿司職人など)である。こういった人たちは、米国に入り、いろいろな場所で活躍する。 それは、米国にとって「国益」になっているのである。 すなわち、今まで「自国内」でできないことができるようになって、米国の「活力」をアップしたと考えるのである。

この移民政策で生ずることが2つある。 問題と考えるか、チャンスと考えるかで、行動は反対になるのであるが、オープンさと一緒になるとのぞましい解決へとつながる。 まず第一は、多様化した人たちの処遇である。 人種はもちろん、宗教、教育、考え方、価値観はては食習慣、など、すべて違う人たちをどうやって満足させるかである。

次は、移民の人たちから何を引き出すか(言い換えると、味方につけるという表現になる)である。喜んで働いてもらい、持てる力を発揮させることが重要なポイントになる。 それは。多様性を管理できる、あるいはチーム化できる、指導層がいるので、結果的に米国は「効率のいい」「世界中の知恵の寄せ集め」を仕組みとして持っている。 飛びぬけて優秀ならば、ビザにはもちろん、他の枠もあるので、即米国に入れる仕組みもある。こうした人財の奪い合いこそ、国家の活力の原点ということを、具体的に仕組みとしている。

これは、米国内の企業についても同様な考え方が浸透している。 人財中心の経営方針である。 現在GoogleとMicrosoftが本当に戦っているのは「人財」の部分である。 それは、いい人財であれば、会社を強くしてくれることを知っているから。 だから、いい人財を、丁寧に探し出し、採用してゆく。 優秀な人財が、味方にいるか、敵にいるか、結果は大違いである。 だから、世界という枠まで広げないと、優秀な人財が見つからないことを、米国の政府や経営者達は肌身で知っているのである。 そして、知っていること、やるべきことを実行することが、政策発動であり経営活動というところにつながっているのである。

その点では、他から学ぶ姿勢ははっきりしている。 使えるものは何でも使え、という表現のほうが適切かもしれない。 日本の半導体産業が世界をリードしていたわずかな期間に、NECの社長が「もはや米国から学ぶものはない」と米国内で宣言したことと考えると、雲泥の差である。 指導者や経営者や永続的に問題解決の姿勢を持たないと、成長はおろか現状維持すらできなくなるのである。 外部の力を借りながら、自己革新プログラムを組み込んだ「移民政策」は、米国の活力と、仲間作りに成功している。  私には、日本の指導者や経営者が、つい20年前に持っていた奢りと、現在の経営者の自信喪失は同じ原因だと思う。 事実を直視しない=学ぶ姿勢が欠けていることに由来すると思えるのである。 学ぶ姿勢がこんなに違ってくるのは、何が原因であろうか。 

次は、カリフォルニアの教育システムについて考えてみたい。

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