- 2007-08-13 (月)
ベンチャーキャピタルが自力で産業を興す
ベンチャーキャピタル(VC)とシリコンバレーは切っても切り離せない関係である。 シリコンバレーの最初のベンチャー会社であるHewlett Packardは、F. Tarman教授がポケットマネーを出して、ガレージ小屋からスタートしている。 将来がわからないけれど、自分達が信じたことは、まずやってみる。 それを手伝う人がいる。 お金を出す人がいる。 それがシリコンバレーの奥深さである。
ベンチャーという言葉の定義は確定していないところもあるが、事業を起こすために、外部から資金を投資してもらい、成功の暁には、投資してもらった資金を”リスクファクター込み”で返済できるような事業だと(私は)考えている。 街ののレストランはベンチャーにはならないし、研究を継続しているだけでは、やはりベンチャーではない。 どちらも、リスクファクターを含めた資金返済ができないからである。
そして、もっと重要なのはベンチャーキャピタルは主要なメンバーは自分でも投資資金の一部を出していることである。(正確には、ベンチャーキャピタルのファンドへの出資)である。 すなわち、サラリーマンが給料を保証されて会社の金を投資しているのとはわけが違うのである。 このことを正確に理解している日本人は少ないので、日本のベンチャーキャピタル投資にはミスマッチやミスリーディングが頻発している。
さて、シリコンバレーの全米の投資金額との比較をしてみると、この図のようになっている。 米国の中でも突出して投資額が大きい。 この資金を元に、大学や研究機関の高いレベルからの研究シーズに投資が行われる。 そして、優れたアイデアであれば、起業として成長する過程の途中で買収されたりすることもある。 (昨年のGoogleによるYouTube買収はその例である) そう考えると、このダイナミズムにあわせる動きがないと、世界市場には生き残れないということだと思うが、いかがであろうか。
日本を除く、アジアの諸国はすでにそのことを理解して優秀なな人財をシリコンバレーに送り込んだり、シリコンバレーから引き戻して、自国の重要なポジションにつけたりしている(中国、インド、韓国、そしてベトナムがそれを始めた) このように、Web2.0という今までの枠組みを変えるような仕組みが生まれていること自身が重要問題であるが、シリコンバレーでは、それらの枠組みに対する新たな挑戦を、ベンチャーキャピタルが支援しているのである。
昨日も書いたが、官主導の日本の仕組みは旧来の枠組みの中ではかろうじて機能した。 しかし、新しい枠組みで動こうとするとき、シリコンバレーのベンチャーキャピタルの持つダイナミズムと、資金源の大きさの前では、残念ながら竹やりでしかない。 昨年、Googleを超えろという検索エンジンプロジェクトがこれも官主導で行われたようであるが、予算は170億円。 Googleは16兆円の市場価値があるし手元資金でも数兆円は使える。 どうしてそれでGoogleに勝てるのか? 日本は相変わらず、大本営発表、竹やり突撃を続けているようにしか見えない。
犠牲になるのは、国民である。 早くこの状態を脱出しないと、未来がないと(私には)思えるのだが。
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